内容説明
本書は、精神分裂病の独特な初期状態を、鋭い記述現象学の目をもって切り出し、それを「初期分裂病」という臨床単位として浮かび上がらせようとする。「初期分裂病」という概念の提唱は、分裂病の精神病理学にとって新しい局面を切り開く。と同時に、これまでの分裂病臨床とは大きく異なった次元を指し示している。本書における著者の試みは、厳密な症状記載に基づく記述現象学的立場の学問を築きあげることである。
目次
自験例から
特異的初期症状(初期分裂病の特異的4主徴;症状の特異性と初期性の検討)
臨床単位化の試み(分裂病の臨床概念;臨床単位としての初期分裂病の提唱;従来の臨床単位との関連性)
診断と治療(面接技法;診断;治療)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クマリカ
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統合失調症の華々しい陽性症状の顕在発症の手前に発見し、発症を食い止めようという高い志から、初期分裂病という病態(病期?)を仮定して、その症状と診断基準と治療法を検討。 特に熟練医の勘に近い対人反応の特徴プレコックス感(所謂分裂病臭さ)に頼らずにというところが面白い。 病識がある、定型抗精神病薬が効かない、任容性が低い、放置すると必ず発症する事が確認できない事から、なんとも難しい。 結局スルピリドで様子見? 古典的な神経症段階概念のよう。 非定型精神病・境界例・発達障害・人格障害との鑑別も曖昧。でも面白い。2022/05/07