内容説明
テクストを読むことは自己を読むこと。この独自のテクスト解釈理論の構築過程を綿密にたどり、リクールの解釈学的現象学の全体像を提示する。
目次
1部 主題と方法の探求―純粋記述から解釈へ(意志の現象学;象徴の解釈学 ほか)
2部 テクスト世界の解釈学(テクスト解釈理論;『生きた隠喩』―言語の創造性の探求 ほか)
3部 テクスト世界と読者の世界(時間性のアポリア論;歴史的時間と痕跡 ほか)
4部 テクスト世界の表象と再認(記憶力と想像力;歴史家の表象 ほか)
著者等紹介
久米博[クメヒロシ]
1932年生まれ。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。1967年ストラスブール大学プロテスタント神学部大学院修了。同大学宗教学博士。桐朋学園大学教授、立正大学教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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1
リクール研究の窓口にはちょうどいい。杉村靖彦の『ポール・リクール 意味の探索』はベルナール→リクールの「悪論」や「隠喩論」がクローズアップされていたのと対照的に、久米の本書はリクールの「物語論」を中心にしていて、自分の興味もそちらに近いので有難い。リクールが、例えば、構造分析的な物語論を引き受けながらもより高次のメタ的な「テクスト」それ自体の指向性を接木することで「物語」と「歴史」という曖昧な境界を指し示そうとしているのが印象的。それが最終的に、「歴史修正」の問題や「証言」の問題として広がっている。 2023/02/22
singoito2
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リクールの邦訳の大部分を手がけた久米博による評伝。リクールの著作の副読本としてはお奨めだし、彼の真価と感動を適切に伝えている・・・が、十分に難しい。リクールの理解を深めるために何を読むべきかを教えてくれる本。2020/12/01