内容説明
三浦半島の海岸には、弥生時代の漁撈具や貝殻・鹿角製の美しい装飾品、占いをした卜骨などの出土する洞穴が数多くある。なぜ、このような場所に人間の営みがあり、その営みが洞穴でなければならなかったのか。この素朴な疑問を解くために、この地の洞穴遺跡を探訪。
目次
第1章 海蝕洞穴へのいざない(海蝕洞穴とは;三浦半島の洞穴遺跡の分布 ほか)
第2章 弥生時代の洞穴利用(猿島洞穴;大浦山洞穴 ほか)
第3章 台地の集落と海辺の洞穴(三浦半島の弥生集落;池子遺跡 ほか)
第4章 その後の洞穴利用(埋葬の場へ;王権と列島の海の文化 ほか)
著者等紹介
中村勉[ナカムラツトム]
1950年、神奈川県横須賀市生まれ。明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。横須賀市域の小中高校に勤務、横須賀市立大津小学校校長を経て、現在、赤坂遺跡調査団団長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
10
神奈川県立歴史博物館で開催中の「洞窟遺跡を掘る -海蝕洞窟の考古学-」( https://ch.kanagawa-museum.jp/exhibition/7266 ) に行く前に再読。弥生時代から古墳時代にかけて、海民たちはオオツタノハを求めて伊豆の御蔵島まで出かけていたらしい。すぐ向かいの房総や、太平洋を介した茨城・和歌山・四国・九州などとのつながりについても、最新研究成果をフォローせねば。。。2022/05/15
うしうし
3
神奈川県の三浦半島に所在する弥生時代(中期後半を主体)の海蝕洞穴遺跡を紹介した書籍。これらの洞穴遺跡は、研究史と台地上の集落遺跡との対比を踏まえ、「異なる文化をもった別の存在ではなく、同一の地域に暮らす同じ文化をもつ人びとの活動の痕跡として理解」する。そして「洞穴遺跡を(貝輪などの)生産の場」とし、「三浦半島の弥生集落自体が海との関わりが深い集団」(p75)によるものとする。その後、弥生時代後期末から古墳時代初頭にかけて、洞穴遺跡は一斉に埋葬の場へと変化する2017/08/19
もるーのれ
2
三浦半島先端部の弥生時代の海蝕洞穴での居住形態、近隣の台地上の集落遺跡との共通点・相違点や関連性などについて分かり易く纏められている。洞穴での暮らしぶりは漁民と言うべきものだが、他の集落とも密接に結びついている。弥生時代に生活の場であったのが、古墳時代には葬送の場に変わっていくという変化の過程も興味深い。2020/04/19
Kouhei Higuchi
0
神奈川県の海と歴史を知りたい人には良い本2023/03/07