内容説明
北海道の空の玄関口、新千歳空港にほど近い石狩低地帯南部の落葉広葉樹林のなか、直径数十メートルにおよぶ巨大な竪穴を掘り、その排土を周囲に盛って環状の土手でかこんだ縄文後期の墓地がいまも地上に姿をとどめている。この大土木工事から北の縄文社会をさぐる。
目次
第1章 キウス周堤墓とは(国道脇の不思議な土手;国内最大級の縄文の墓)
第2章 キウス周堤墓の“発見”(アイヌのチャシ説;縄文時代のものとの認識へ ほか)
第3章 周堤墓への道(北東北の環状列石;北海道の環状列石 ほか)
第4章 周堤墓をつくった集落(キウス川のほとりにて;周堤墓をもつ集落の誕生 ほか)
第5章 周堤墓の終焉(積石墓・墳丘墓の出現;朱塗りの櫛の土壙墓 ほか)
著者等紹介
大谷敏三[オオタニトシゾウ]
1949年、北海道生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。千歳市教育委員会、千歳市勤務を経て、2010年3月退職。元千歳市埋蔵文化財センター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
14
千歳空港の近くにある、のちの円墳の元祖(?)とも言える、周囲に堤をめぐらせた大規模な集合墓=キウス集堤墓。300mほど南西にあるキウス第四遺跡のネクロポリスとして構築されたと考えられている。さらに南の美々遺跡からは、糸魚川起源のヒスイも出土しており、縄文時代後期にすでに交易圏が本州中部に達していたことを示している。2019/03/09
月をみるもの
11
せっかく空港に近いのだから、カリンバとともに立ち寄るチャンスをつくりださなくてはならない。今なら、まだ紅葉してるかな。。2021/10/16
いくら丼
5
んんー……北黄金貝塚公園のお土産その1(キウスではない。あそこで書籍は売っていない)。キウス周堤墓群自体というより、時代や地域を広く取って周辺遺跡を見ていく中で、キウス周堤墓群を位置づけていく試みの雰囲気。ゆえに、縄文一般とか、北海道や千歳の遺跡群や地理をあまり知らないと、イメージしにくいかも。巻頭付近に挿入の地図が役に立つので、参考にしながら読むと良さそう。ところで本編最後は「他界観の変化」で締められているんだが、そもそも変化以前に他界観の登場はどこなのか。埋葬イコール他界観の発生とも限らないだろう。↓2023/05/23
笛吹岬
2
北海道千歳空港近くにある縄文後期後葉のキウス周堤墓群。最大のもので、径74mにおよぶドーナツ状の盛土の遺跡。北東北から道南にある環状列石からの影響があるとのことだが、その繋がり・関係性は理解できなかった。とはいえ、このシリーズらしく、研究史を簡潔かつトータルに叙述されているのは、専門外の人にも取っつきやすい。2012/10/13
yanapong
1
本文中にある4号→1号←3号の構築順は、逆ではないか。周堤の切れる状況もそうだが、何より「円形」を墓域に選んだ彼らが、望む大きさの周堤を狭い(円が描ききれない)場所に無理矢理押し込めるようなことができるだろうか。この順番なら1号はもっと小さくなるだろう。2013/01/20