怪異とは誰か

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怪異とは誰か

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784787292414
  • NDC分類 388.1
  • Cコード C0395

出版社内容情報

芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストに現れる亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして、近代における文化規範が怪異と合わせ鏡であることを解き明かす。怪談作家・黒木あるじへのインタビューはファン必読。

はじめに 一柳廣孝



第1章 実話怪談にとって「怪異」とは誰か:黒木あるじインタビュー 聞き手:茂木謙之介/一柳廣孝



第1部 怪異の機能



第2章 表現システムとしての〈怪異〉とノスタルジア――一九二〇年代の文学的想像力と「他者」の変容 副田賢二

 1 震災と「〈死角〉空間」と〈怪異〉

 2 表象の場としての「渚」の「女」たち

 3 漏出する「匂」と「懐郷病」――〈怪異〉空間としての「玄鶴山房」

 4 ノスタルジアとしての〈怪異〉と他者性のゆくえ



第3章 皇の奇跡――戦間期地域社会における〈瑞祥〉言説をめぐって 茂木謙之介

 1 植民地における〈瑞祥〉言説

 2 内地での〈瑞祥〉言説と天皇(制)をめぐる状況



第4章 弱者のために怨む――川村孤松『廻国行脚怪談百物語妖怪研究』について 谷口 基

 1 反近代の世界観と人間理解

 2 崩れゆく「百物語」/消失する語り手

 3 弱者のために怨む

 4 川村孤松とは何者か



第2部 〈外部〉のまなざし



第5章 芥川龍之介の文学と「世紀末的な不安」――地震・帝国・怪異 小谷瑛輔

 1 芥川の時代の「世紀末的な不安」

 2 芥川龍之介「疑惑」と濃尾大地震

 3 朝鮮表象と関東大震災

 4 晩年の志賀直哉オマージュと怪異



第6章 占領地に現れた“幽霊たち”――縮図としての火野葦平「怪談宋公館」 構 大樹

 1 幽霊騒動の発生

 2 リアリティーの所在

 3 占領地の縮図



第7章 わたしたちのドラキュラ――横溝正史の『髑髏検校』と帝国主義 中川千帆

 1 『ドラキュラ』批評と江戸の危機

 2 西と東の出合いと文明vs非文明、科学vs魔術

 3 男たちと帝国

 4 演劇、歌舞伎とヴァンパイア



第3部 〈亡霊〉たちの現在



第8章 三島由紀夫とオカルト言説――「二・二六」表象をめぐって 松下浩幸

 1 〈予言者〉としての三島由紀夫

 2 三島由紀夫をめぐる「神話作用」

 3 同時代のなかの二・二六事件



第9章 〈喪主〉としての語り――村上春樹「七番目の男」から 岡田康介

 1 「怪談」と後日談

 2 怪談会で語ること

 3 鎮魂する「怪談」



第10章 ナラティヴの亡霊、あるいは川上弘美「花野」の亡霊論(hantologie) 高木 信

 1 構成と特徴と

 2 秩序と未練と

 3 無関心と決断と

 4 そら豆と神と

 5 語りと亡霊と



第11章 女が語る〈産〉と怪異――三枝和子『曼珠沙華燃ゆ』における亡霊たちのフォークロア 倉田容子

 1 「ねこざんまい」――「女性原理」の幻影

 2 人口政策の近代史――「父権」の法

 3 怪異化される〈産む性〉

 4 雲ケ畑・式内厳島神社――再び「ねこざんまい」へ



おわりに 茂木謙之介

一柳 廣孝[イチヤナギ ヒロタカ]
和歌山県生まれ。横浜国立大学教育人間科学部教授。専攻は日本近現代文学・文化史。著書に『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、『無意識という物語』(名古屋大学出版会)、編著に『オカルトの帝国』『「学校の怪談」はささやく』『心霊写真は語る』、共編著に『ライトノベル研究序説』『ライトノベル・スタディーズ』(いずれも青弓社)など。

茂木 謙之介[モテギ ケンノスケ]
埼玉県生まれ。国立小山工業高等専門学校非常勤講師。専攻は日本近代文化史、表象文化論。共著に『学校文化の史的探究』(東京大学出版会)、論文に「東京・怪異・モノガタリ」(「日本文学」第63巻第9号)、「弘前の秩父宮」(「歴史評論」第762号)など。

内容説明

芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストと、天皇制・植民地・ナショナリズムといったテーマが交差するとき、そこには“他者”としての怪異が浮上し、私たちを恐怖に陥れる。亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして、怪異が近代における文化規範の合わせ鏡であることを示す。

目次

実話怪談にとって「怪異」とは誰か:黒木あるじインタビュー
第1部 怪異の機能(表現システムとしての“怪異”とノスタルジア―一九二〇年代の文学的想像力と「他者」の変容;皇の奇跡―戦間期地域社会における“瑞祥”言説をめぐって;弱者のために怨む―川村孤松『廻国行脚怪談百物語妖怪研究』について)
第2部 “外部”のまなざし(芥川龍之介の文学と「世紀末的な不安」―地震・帝国・怪異;占領地に現れた“幽霊たち”―縮図としての火野葦平「怪談宋公館」;わたしたちのドラキュラ―横溝正史の『髑髏検校』と帝国主義)
第3部 “亡霊”たちの現在(三島由紀夫とオカルト言説―「二・二六」表象をめぐって;“喪主”としての語り―村上春樹「七番目の男」から;ナラティヴの亡霊、あるいは川上弘美「花野」の亡霊論(hantologie) ほか)

著者等紹介

一柳廣孝[イチヤナギヒロタカ]
和歌山県生まれ。横浜国立大学教育人間科学部教授。専攻は日本近現代文学・文化史

茂木謙之介[モテギケンノスケ]
埼玉県生まれ。国立小山工業高等専門学校非常勤講師。専攻は日本近代文化史、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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へくとぱすかる

33
「怪異の時空」3冊目の最終巻。3冊中もっとも難しい。ほぼ全編が文学テクストをテーマにしているからなのか、論文の随所に現れる文学的表現に、怪異そのものがあるとも感じた。それぞれの論が集積した結果として、近代が封じ込めてきた、人間の理性に収まらない部分、抑圧された感情が、「怪談」として語られることで、かろうじて表現されてきたのだ、ということが浮かび上がってくる。2017/02/05

佐倉

11
近代国家という枠組みに現れる“怪異”を小説や怪談などのテクストから読み取る論文集。怪異とは誰か?父権社会にとっての女性、帝国にとっての植民地や敵国、貧者にとっての上流階級、現在から見る過去と、怪異に様々な他者が投影されていることを示す論考が興味深い。とりあげられるケースには多少の差はあれど差別が隠されている。黒木あるじが掲載を取り止めたネタなど“怪異の背後に差別的な歴史があること”が忘れられるようなケースもある。それへの対応として黒木あるじは土地の歴史と向き合うという事を語っていたのが興味深い。2024/01/11

qoop

8
怪異に仮託して誰が何を語るのか、怪異を表象する語り手を考える上で欠かせない論点だが、本書は近現代人の心性がどう怪異の中に漏出しているかを多面的に論じている。中では、怪談実話好きとして読んでおくべきと思わされた黒木あるじ氏へのインタビュー、近代国家の周縁でありながら中心を主張する戦前日本の矛盾を指摘した編者の〈皇の奇跡〉、恐怖以外に怪談を成立させる種と実を示唆していて興味深い岡田康介氏〈喪主としての語り〉などが印象に残った。2022/07/14

mittsko

4
「怪異怪談研究会」(2012年8月~)の最初の成果シリーズ「怪異の時空」全三巻の最終巻。なんか変な表題だが、どうやら「外部」の「他者」としての怪異を問題化しようとしているらしい。怪異として外部から現れる他者とは誰なのか、と。なるほど。そして集められた論考は、本研究会の性格を反映して、毎度ながら文学研究がほとんどですね…(^^)/ ※ 個人的には、グサッと刺さってくる論考は、本書ではみつからなかったです(疲れはてた状態で読んでしまったからかもしれないです… 茂木さん、ごめん)2023/08/25

396ay

2
めちゃくちゃ面白い。じっくり読みたい 2021/10/21

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