顔の剥奪―文学から“他者のあやうさ”を読む

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顔の剥奪―文学から“他者のあやうさ”を読む

  • 鈴木 智之【著】
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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784787292360
  • NDC分類 902.3
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「顔色をうかがう」「顔に出る」「顔を突き合わせる」――顔は身体の一部であるとともに、「他者と共に在る」ことを可能にしている器官でもある。顔の不在を物語る村上春樹や多和田葉子の作品から、他者と向き合う困難と可能性を描き出す文学批評。

序章 顔をなくした者たちの物語

 1 共在の器官としての顔

 2 顔を見つめる動物

 3 顔を失うということ

 4 顔が現れないということ

 5 顔をなくした者たちの物語を読む



第1章 顔の剥奪――探偵小説と死者の表象

 1 手がかりの束としての死者=死体

 2 顔への悪意

 3 死者の身元をすりかえる

 4 表象の闘争

 5 他者の表象としての死者

 6 二重の暴力とそのアレゴリー



第2章 剥離する顔――村上春樹『国境の南、太陽の西』における「砂漠の生」の相貌

 1 空虚な「顔」

 2 取り返しがつかないこと――時間とその不可逆性をめぐる物語

 3 砂漠の生――はかなさと酷薄さ

 4 このあまりにも偶発的な生

 5 運命の恋、あるいは物語の起源

 6 「私は悪をなしうる存在である」

 7 人と人のあいだに現れる顔

 8 剥離する顔



第3章 異邦の顔――多和田葉子「ペルソナ」における他者の現れ(なさ)

 1 顔――見えざるものの現出としての

 2 顔の現れ(なさ)をめぐる物語

 3 「入植者」たち、あるいは「ゲットーの住人」

 4 コロニアルな欲望とレイシアルな想像力

 5 面を被る、ということ

 6 顔をなくしたまま歩行を続ける



第4章 引き裂かれた顔の記憶――林京子「道」における死者の現れ

 1 死者に出会うということ/死を書くということ

 2 最期の姿を求めて――「道」(一九七六年)

 3 証言の分裂――企ての破綻

 4 記憶から記憶へ――「道」での語りの重層と移行

 5 顔を奪われた死者たち

 6 引き裂かれた顔の記憶

 7 事実を知るということ/死者の顔に出会うということ



第5章 顔の回復――他者の現れを待ち続ける探偵としてのメグレ

 1 『メグレと首無し死体』

 2 定型からの逸脱

 3 「法医学」のまなざし?対?「ハビトゥス」の解読

 4 表情がない女

 5 「顔」の現れ

 6 越境する人間

 7 「顔」の回復=物語の回復



おわりに――脆弱な顔をさらしながら



あとがき

鈴木 智之[スズキ トモユキ]
1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授。専攻は理論社会学、文化社会学。著書に『村上春樹と物語の条件』『「心の闇」と動機の語彙』(ともに青弓社)、『眼の奥に突き立てられた言葉の銛』(晶文社)、共編著に『失われざる十年の記憶』(青弓社)、『ケアとサポートの社会学』、訳書にベルナール・ライール『複数的人間』、ジャック・デュボア『現実を語る小説家たち』、クレール・マラン『熱のない人間』(いずれも法政大学出版局)、アーサー・W・フランク『傷ついた物語の語り手』(ゆみる出版)、共訳書にジグムント・バウマン『個人化社会』(青弓社)など。

内容説明

探偵小説に描かれる死体、村上春樹の剥離する顔、多和田葉子のペルソナ、林京子の引き裂かれた顔、そして探偵メグレが試みる顔の回復―。文学・小説が語る「顔の不在」の表象と、それを読んだときに感じる私たちの不安の源泉を丁寧にすくい取り、他者との共在の困難と他者と出会い直すことの可能性を描き出す文学批評。

目次

序章 顔をなくした者たちの物語
第1章 顔の剥奪―探偵小説と死者の表象
第2章 剥離する顔―村上春樹『国境の南、太陽の西』における「砂漠の生」の相貌
第3章 異邦の顔―多和田葉子「ペルソナ」における他者の現れ(なさ)
第4章 引き裂かれた顔の記憶―林京子「道」における死者の現れ
第5章 顔の回復―他者の現れを待ち続ける探偵としてのメグレ

著者等紹介

鈴木智之[スズキトモユキ]
1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授。専攻は理論社会学、文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

らぱん

17
顔は個体の識別の材料以上の意味があり、言い切ってしまえば「顔は人なり」が前提での話である。その上で、顔がないとはどういう意味を持ち、どんな影響を及ぼすのか。その切り口で個別の文学を評論している。現実ではコミュニケーションにおいて顔以外からも情報を受信発信している。それに比べれば、物語では情報はこちらからの取捨選択が出来ず、顔の存在は現実よりも重い意味を持つだろう。視点として面白いと思えたところはあったが、驚くような示唆はなかった。2019/04/03

田中峰和

3
顔の剥奪とは何か、一つは探偵小説における首なし死体と毀損された顔、もう一つは表情のない顔。前者は人類が最初に体験した大量殺戮戦争である第一次大戦によって生じた膨大な屍の山を象徴し、ポオの作品などに影響を与えている。後者の表情については、多和田葉子の「ペルソナ」の解釈が興味深い。著者自身が体験なのか、ドイツで暮らす道子のデラシネ感が描かれる。東アジア人は無表情だから何を考えているかわからないというドイツ人の意見。韓国人と自分の容貌は違うという弟の発言にも違和感をもち、能面を被って街を歩く道子の姿が痛々しい。2016/11/28

らむだ

2
探偵小説に描かれる顔のない死体。村上春樹・多和田葉子・林京子の小説に現れる『空虚な「顔」』、『異邦の「顔」』、『引き裂かれた「顔」』の表象を辿り、最後に探偵メグレの『顔の回復』の試みを示して閉じられる。 文学に登場する損なわれた顔から、他者との共在の困難と可能性を探った一冊。2022/01/27

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