出版社内容情報
労働人口の減少などを背景に、職務を軸にした雇用が広まりつつある現在、派遣労働者はジョブ型雇用の代表格である。「自由な働き方」というイメージもある彼/彼女たちは、どのような思いで働き、自身のキャリアと向き合い、ライフコースを歩んでいるのか。派遣労働を取り巻く困難や課題はどこにあるのか。
大きな転換点になった2015年の労働者派遣法の改正で掲げられた派遣期間の制限見直しやキャリアアップ措置、待遇の改善などの実態を、派遣労働者40人や派遣元事業主などへのインタビュー、1,650人へのウェブ調査を組み合わせて明らかにする。
そして、雇用の安定やキャリアの向上が必ずしも実現しておらず、給与や雇用形態で不安を抱えながら働くことを余儀なくされている現状をあぶり出す。同時に、男女間の格差やハラスメントの実態、コロナ禍での「被害」も浮き彫りにする。
5年に及ぶ調査から派遣労働の実情を照らし出し、それを通して正社員の労働実態や多様な働き方の可能性も検証する。
内容説明
ジョブ型雇用の代表格である派遣労働者は、どのような思いで働き、自身のキャリアと向き合っているのか。また、どのような困難や課題を抱えているのか。派遣労働者などへのインタビュー、千六百五十人へのウェブ調査を組み合わせて、実態を明らかにする。
目次
第1章 事務職派遣労働者の直接雇用転換と選択
第2章 事務派遣労働者の働き方と自律性
第3章 派遣労働を積極的に選択するのは誰か
第4章 派遣労働の現状と課題―派遣労働者として働く人たちの自己概念に注目して
第5章 派遣労働者の働く現状と満足度―ウェブ調査の結果から
第6章 事務職派遣労働者の無期雇用派遣転換と選択
第7章 二〇一五年派遣法改正が増幅した「正社員」の多様化―無期雇用派遣社員とは:技術者を中心として
第8章 派遣労働者をめぐるハラスメント
補論 新型コロナウイルスの影響と派遣労働
著者等紹介
大槻奈巳[オオツキナミ]
聖心女子大学現代教養学部教授。専攻は社会学、労働とジェンダー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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