内容説明
雑誌「女人芸術」に集結した女性知識人やプロ・アマを問わない表現者に光を当て、彼女たちの自己表現、階級闘争、フェミニズムとの複雑な関係を浮き彫りにして、女性の闘争主体/文化生産者としての一面を明らかにする。
目次
第1部 左翼思想とジェンダー(階級闘争におけるセクシュアリティ―女性闘士たちと「愛情の問題」;女性解放と変愛至上主義との間―大正・昭和期のコロンタイ言説の受容;社会主義運動とモダンガール―韓国近代長篇小説の様式のある秘密;闘争の発熱―「女人芸術」のアナボル論争)
第2部 交渉する表現主体とジェンダー(目覚めの途上にあること―「女人芸術」の文学作品にみる闘争の周縁;「女人芸術」のインターセクショナリティ―階級・エスニシティ・性意識と「女人芸術」のフェミニズム;“閨秀作家”凌叔華の一九三〇年代―戦時下のセクシュアリティと創作;「女人芸術」創刊から廃刊、そして「輝ク」)
著者等紹介
飯田祐子[イイダユウコ]
1966年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院人文学研究科教授。専攻は日本近現代文学、ジェンダー批評
中谷いずみ[ナカヤイズミ]
1972年、北海道生まれ。二松学舎大学文学部准教授。専攻は日本近現代文学・文化
笹尾佳代[ササオカヨ]
1979年、徳島県生まれ。神戸女学院大学文学部准教授。専攻は日本近現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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クァベギ
1
『女人芸術』の名称は知っていたけれど、どんな記事が載っていたのかは知らなかったので、タイトルを見て興味を持った。著者のひとりフレデリックが言うように「現代の政治問題の議論や理論的問題に関しても有意義な論点が見いだしうる」ことがうかがえた。100年前に素晴らしい雑誌が作られていたことに感銘を受けた。2022/11/04
澄川石狩掾
0
コロンタイの社会主義化による自由恋愛論とその受容が興味深かった。2021/06/01
URYY
0
飯田論文が熱い。高群逸枝、再読したいな。同時に栗田隆子『ぼそぼそ声のフェミニズム』を読んだのだが、1930年代の闘争、2000年代の「運動」、ともにわだかまるものが共振してしばし茫然。がんばろう。2019/06/12