内容説明
茨城県の石岡の祭りに着目して、フィールドワーク・聞き書き・史料をもとに、商都から伝統の都へと移りゆくなかで積み重ねられる人々の協同と軋轢、そこから生まれる柔軟なローカル・アイデンティティーの実態に迫る。伝統と生きる日常実践を描く民俗学の成果。
目次
序章 地方文化から地方社会を考える
第1章 地方社会と近代化
第2章 昭和の郷土運動と郷土像の形成
第3章 無形民俗文化財と新たな民俗芸能の創出
第4章 地域史としての都市祭礼
第5章 都市祭礼のレーゾンデートル
終章 現代日本社会のローカル・アイデンティティー
著者等紹介
金賢貞[キムヒョンジョン]
1976年、韓国ソウル市生まれ。2007年、筑波大学人文社会科学研究科歴史・人類学専攻修了。文学博士。現在、東北大学東北アジア研究センター助教。専攻は民俗学、研究分野は祝祭・儀礼文化論、地域社会論、文化政策・制度論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
6
茨城県取手市の図書館にて。著者は1976年、ソウル生まれの韓国人。筑波大学の「地域研」で学位を取ったようだ(ここ、友人が修士取ったとこなのである程度わかる。平たくいうと、歴史・民俗・人類学まぜまぜで社会調査する)。著者は「石岡のまつり」を研究対象にしている。わたしはその「隣」にあるつくば市で「まつりつくば」を20年ほど共にしたし、警備のバイトで石岡まつりの雑踏警備したこともあるので、なんというかとても懐かしい。石岡の方、平たく言うとヤクザが仕切ってた面があるので、そこはぼかしてあるナ。当然だけども。2019/09/23
西野西狸
4
歴史の町、石岡がどのように形成され、維持されているのかを史料や筆者のフィールドワークの結果をもとに描き出している。変遷のみならず総社の祭りの現在を動態的にとらえており、尚且つ伝統というものにまで論を拡大している。最初は否定的にとらえられていた石岡囃子がどのように現在のように伝統的なものになったかの章が面白かった。2016/08/21