内容説明
日露戦争開戦前夜の一九〇二年。青森県・八甲田山で起こった雪中行軍遭難事件(死者百九十九人)は当時の社会に驚愕と悲嘆を巻き起こすと同時に、惨事への好奇のまなざしを生成し美談をも生み出していった。死者はどのように慰霊・顕彰されたのか。そしてこの未曾有の出来事の記憶は誰によって編集されていったのか。新聞報道や防衛省所蔵の公文書、聞き取り調査などからその経緯を丹念に追い、大日本帝国の形成期を問い直す。
目次
第1章 雪中行軍の歴史的背景と遭難の衝撃
第2章 陸軍と政府の対応、地域社会の反応
第3章 惨事への好奇心―見世物から映画へ
第4章 美談のイコノグラフィ
第5章 仮死の記念碑
第6章 遠い靖国
終章
著者等紹介
丸山泰明[マルヤマヤスアキ]
1975年、新潟県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。国立歴史民俗博物館機関研究員、東邦大学理学部非常勤講師。専攻は民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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