内容説明
保育から貧困を考えるはじめての本。子どもと家族の姿を見つめ直し、子ども・親・保育者のしあわせとこれからの保育を考える。
目次
序章 「貧困と保育」が照らす世界―子どもの育ちを豊かにする保育への一歩を
1 乳幼児期の貧困と保育―保育所の可能性を考える
2 保育現場にみる子どもの貧困
3 保育所保護者への調査からみえた貧困―解決策としての保育ソーシャルワーカーの配置
4 「保育の貧困」を考える
5 なぜ子育て世帯・母子世帯が貧困に陥るのか―若い世代の雇用・労働と社会保障
6 子どもの発達と貧困―低所得層の家族・生育環境と子どもへの影響
著者等紹介
秋田喜代美[アキタキヨミ]
東京大学大学院教育学研究科教授。同附属発達保育実践政策学センターセンター長。博士(教育学)。専門は、保育学、教育心理学、授業研究
小西祐馬[コニシユウマ]
長崎大学教育学部准教授。教育学部の「幼稚園教育コース」にて児童福祉・家族支援論などの講義を担当して保育者養成に従事しながら、「子どもの貧困」(特に「乳幼児期の貧困」)について研究している
菅原ますみ[スガワラマスミ]
お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授。同人間発達教育科学研究所所長。文学博士。専門は発達心理学・発達精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
26
この本は「保育から子どもの貧困を考える初めての本」として出版されたものです。保育所保育において、子どもの貧困に対して対処する可能性があり、また求められているのか考えることができました。保育所は発達保障の面をもつ一方で、社会福祉施設としてケアやソーシャルワーク機能があります。そのため、乳幼児期の子どもの貧困に対して、それに抗する大きな役割があるのだと思います。しかし、現実は待機児童問題など保育所不足があり、民営化で公的責任は後退しています。新自由主義社会の中で保育所の役割を深く考える必要性を痛感しました。2016/10/24
リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん
23
ベビーホテルの事件が余りにも痛ましい。貧困が子供の保育環境にも暗い影を落とすんだなと、色々なデータから実感しました。2017/08/08
りょうみや
9
子どもの貧困の時期と将来の関係は年齢が小さいほど大きく、幼児期の貧困の様々な影響がまず分かり、それゆえに保育とその施設の存在の重要性は決定的であり、そして保育は新自由主義の考え方で単なるサービス・商品として扱うと悲惨にことになることも分かる。社会問題としての子どもの貧困を知ることだけでなく、逆説的に理想の保育・幼児教育に必要なものも教えてくれる内容である。2016/12/11
aki
1
貧困と待機児童問題が強く結び付いているのはとても同意。保育園に入れたら働けます、という人に都内で正社員の内定を出す会社はかなり限られると感じる。 男女賃金格差、子どもがいる世帯はOECD加盟国最悪という事実を初めて知った。OECD による「母親ペナルティ」という言葉に、日本のジェンダーギャップが強烈に表現されている。2019/11/15
二人娘の父
1
保育の現場からの初めての本格的な貧困へのアプローチとのこと。データが豊富で参考になる。2016/12/12
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- 和書
- 白隠禅師 講談社現代新書