内容説明
つながりが紡ぐことば、被災地から踏み出す教育再生への一歩。
目次
1 あの日のこと(つぎつぎに高いところへと避難―職員みんなが自分で考えて動いた;カーテンを毛布に―図工の作品も作文も敷物がわり;850人が校舎に孤立―ラジオ局にくり返しメールを送り救助を待った ほか)
2 あの日からのこと(4か所に分かれて授業―移動の困難、狭さ・暑さのなかで;通学に時間がかかり授業早退も―科目の減少は進路にも影響;バスで片道40分の移動教室方式―でも友だちと会える喜び ほか)
3 子ども・学校・地域(現実を見、聞き、感じ考え自らに問いつづけること;「避難場所」と「教育施設」―災害時における地域と学校;泥とがれきに埋もれたままの故郷・石巻を取りもどすために)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
35
図書館に震災関連の絵本を借りに行ったら目に留まった本。教育現場の生の声を集めたもののようで、先生方の苦労や思いが垣間見られました。私もあのとき、子供たちを守ることで必死だったけれど、目の前に迫り来る津波から救い、そのあとの被災者のお世話まで、本当に大変だっただろうなと思います。自分の子供たちよりも、目の前の子供や地域住民が優先ですから。なのに、4月1日付けで異動させていたなんて!信じられません。同じ立場のものとして、震災への向き合い方を深く考えさせられる一冊でした。2018/03/11
なま
8
なんとしても、3・11を言葉に残したい。そんな思いで宮城県教育会館の公益事業部門の1つと設置された みやぎ教育文化研究センターが当時の様子を会員の教師や保護者からが残した記録。2011.5月連休明けの原稿依頼に「今は書けません。」というものや今回被災を経験して疑問や怒り、大きな絶望それぞれの生々しい現実が書かれている。常識を疑う事、絶対と言うことはない。だから進歩もある。当事者が一番状況がわからないという言葉に胸が熱くなる。2017/05/08
ユッケ
0
沿岸部と内陸部の格差は時間の経過と供に大きくなっている印象がある。ひとつの街の中に、まったく異なる世界がある感覚。全国的なレベルに対してその感覚を伝えてる報道に、ついぞお目にかかったことがない。そういったことを伝えている本。本書に収められている子供たちの作文の強さが心に残った。2011/12/21