内容説明
なぜ人は趣味をほどほどに、あるいは真剣に続けるのか?趣味として自分の好きなことに打ち込む人びとや、彼・彼女らを取り囲む趣味環境に注目し、趣味に生きる文化のあり方やそこでの葛藤を描きだす。
目次
本書の基本的な視点
1 日本におけるシリアスレジャーの意味(趣味の大衆化―テイストとホビーの境界線;アマチュア―「稽古(事)」と「たしなみ」
シリアスレジャーとしてのボランティア―余暇か労働か)
2 シリアスレジャーに打ち込む人びと(趣味と放送―シリアスレジャーとして始まったCATV;ランニングの専門志向化とトレイルランニングへのキャリア;より良い生き心地を求めるLGBTのシリアスレジャー;夢追いバンドマンにとって音楽活動は趣味なのか,仕事なのか;それでも舞台に立てる理由:まじめに遊ぶための人間関係と規則;「アイドル,はじめました。」:アイドルは仕事なのか,趣味なのか)
3 シリアスレジャーに打ち込む環境(SNSが築く弱い趣味縁の面白さ;メディアが可能にする趣味実践―「学習」と「観戦」におけるメディアの利用;「趣味」としての部活動―学校教育が醸成する発表会的心性;日系人の「日本語で歌う文化」:シリアスレジャーでつながるマイノリティ;「地域を取り戻す」という遊び:スポーツを通じた観光まちづくりを事例に;政策的に「活用」される自由時間:シリアスレジャーのあやうさ)
Appendix ロバート・ステビンスへのインタビュー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
センケイ (線形)
8
仕事じゃないけどこだわってやっている事って幾つかあって呼び名に困っていたんだけど、これだったんだなと思う。あわよくば仕事にしたいこととか、そうでなくても一生ちゃんとやりたいこととか。そういうのを、お金にならないからってただの "趣味" って自虐的に言っちゃうとは勿体ないかもしれないなと、そういう領域を開いてくれた本だ。あとは個人的にコミュニティ論が最近好きなので、趣味縁が作られる過程や、関連する文献の話が見つかったのも嬉しかった。2022/01/23
jackbdc
2
単なる遊び以上の時間や努力を費やす趣味をシリアスレジャーと定義して文化論を語るもの。個人的に趣味か仕事かの二元論には物足りなさを感じる。趣味とは何か?仕事は何か? ?という定義の問題でもある。時間や努力の投入量と稼げる金額の二軸で定義してみれば、第一象限が仕事、第三象限が趣味、第四象限がシリアスレジャーというのが一般的な理解。しかしその内実は多種多様。プロを目指すバンドマン、アマ棋士、部活等の事例が紹介されていた。他人の承認を求めるバンドマンは仕事に近く、自己満足の比重の高い棋士や部活との違いは鮮明だ。2021/06/12
たろーたん
1
趣味だけど、専門的な知識があり、継続的で、熱心度が高い、そんな趣味を超えてるそんな趣味に対して「シリアスレジャー」という言葉をくれた本(対概念はカジュアルレジャー)。そう考えると、趣味って非常にグラデーションが高いのに、趣味の濃淡を描く研究ってあまりなかった気がする。夢追いバンドマンの章でもあったけど、「趣味か仕事か」を超えているんですよね、これ。そもそも、趣味/仕事という二項対立がそもそもおかしいのかもしれない。…というか、趣味って思ったよりも学問的に分析されてない?2022/06/06
huyukawa
0
定義や視点がまだ揺れている。レジャーというものへの考え方がさまざまであり、価値観の多様性があることがわかった。2021/12/09
Yuuri Kuzukawa
0
友人たちとオンライン読書会で読む。少しずつ読み進めた。/感想は割愛。2021/07/16