出版社内容情報
ノーベル文学賞作家、
ソール・ベローの
最後の小説、ついに初訳刊行!
主人公チックは、
友人で、世界的に著名な学者ラヴェルスタインから、
回想録執筆を依頼されるのだが……。
記憶をたどるチックの問わず語りは果たして
どこへ向かうのか。
シカゴ大学の同僚で親友だった
アラン・ブルーム(ラヴェルスタインのモデル)の
メモワールであるとともに、
記憶、ユダヤ性、そして死とはなにかを問う。
ソール・ベロー[ソール ベロー]
著・文・その他
鈴木 元子[スズキ モトコ]
翻訳
内容説明
死を覚悟した友人からメモワール執筆を課された作家の胸に去来する思いとは。老い、生と死、ユダヤ人としてのアイデンティティ、そして愛とはなにかを問う。
著者等紹介
ベロー,ソール[ベロー,ソール] [Bellow,Saul]
1915‐2005年。ロシアからのユダヤ系移民の三男として、カナダのケベック州に生まれる。9歳のときにシカゴに移住。長篇第3作の『オーギー・マーチの冒険』(1953)年大ブレーク、全米図書賞を受賞、さらに『ハーツォグ』(1964)と『サムラー氏の惑星』(1970)でも全米図書賞、『フンボルトの贈り物』(1975)でピューリッツアー賞、1976年にノーベル文学賞を受賞。作家であると同時に、シカゴ大学、ボストン大学などで教鞭を執った
鈴木元子[スズキモトコ]
静岡文化芸術大学教授、博士(文学)(大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
122
最初から色々と暗示があったのだな。そして、表紙も最後までくると、なるほどと思う。舞台はパリの高級ホテル。しかもマイケル・ジャクソンは彼らのしたのフロアにいるのだ。ラヴェルスタインは何者だ?。登場する大物人物達には、経済学者や政治家も。煙に巻かれながらも、やがて書かれた目的がわかる。そう、残しておかなくては、と。読者を選ぶよね、これは。私は、途中からズブリとハマってしまった。2018/07/06
星落秋風五丈原
24
登場人物ほとんどにモデルがいるソール・ベローの私小説。マイケルジャクソンが出てくる。主人公は何度か結婚していて「前妻と別れろ」なんて結構嫌な事も言ってくるラヴェルスタインだけどとにかくベローがモデルとした友人のことをとてもすきだったのだなということがわかる。2018/10/12
春ドーナツ
16
本書は「ラヴェルスタイン氏を中心とした大学コミュニティというサンクチュアリを描いたコミック・ノベル(宿命的にシリアスな部分があるにせよ)」という印象を持った。それはスノッブであり、エスプリも相応に振りかけられている。下世話な話も或る種のスパイスとして機能している。設定が興味深い。親友であった故人から「私の伝記を書いて欲しい」と頼まれた。「私」にとってメモワールを書くということは、時系列に囚(とら)われない「思い出の滝」を次々に潜り抜ける派生的な意識の呼び水となるのだから。2018/08/05