内容説明
明治期の思想大弾圧、「大逆事件」で処刑された唯一の女性、管野スガ。処刑から100年を経た今、スガに関するこれまでの表象を検証し、処刑前に書かれた日誌などからその真の姿を浮き彫りにする。
目次
第1章 「妖婦」と「革命家」(女)―管野須賀子の表象
第2章 新聞記者、婦人矯風会の活動家、社会主義者―実像の発掘
第3章 『牟婁新報』主筆代行―公娼制をめぐる和歌山県での攻防
第4章 「新婦人」幽月の困難―赤旗事件から大逆事件へ
第5章 管野須賀子と大逆事件
第6章 「幸徳母上」
結語 管野須賀子の歩み
補論1 自由恋愛と大杉栄
補論2 金子喜一と『ソーシャリスト・ウーマン(The Socialist Woman)』
著者等紹介
関口すみ子[セキグチスミコ]
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。現在、法政大学法学部政治学科教授、専攻、ジェンダー史・思想史。著書に、『御一新とジェンダー―荻生俎徠から教育勅語まで』(東京大学出版会、サントリー学芸賞(2005年)受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jamko
12
『良妻賢母主義から外れた人々』が面白かったので同じ著者のものを。大逆事件で幸徳秋水らとともに死刑に処された菅野。恋愛関係のいざこざのイメージも強い彼女の実像を改めて再検証する一冊。これもまた面白かった!そもそも論として菅野の「妖婦」イメージを作ったのは荒畑寒村でありどう考えても捨てられた腹いせだし、自由に生きようとした女たちを身近な男性社会主義者たちがまず嘲笑ってコケにしてきたからこそ彼女たちは矮小化され正当に評価されなかったんじゃないか。何がフリーラブだ馬鹿者たちめ。→2020/11/18