内容説明
無縁死3万2千人時代。老・衰・病をめぐる在宅支援の最前線レポート。
目次
1 「覚悟」
2 無縁介護―在宅介護の現場から
3 「無縁死、悪いでしょうか」
4 気がつけば「終の住処」だから
5 「迷惑をかけたくない」
6 ヘルパー日誌「人生いろいろ」
7 ひとり暮らしを支える
8 無縁社会と現代の貧困
9 無縁社会で老いるとき
10 もう一度、無縁介護と「アウトリーチ」から
著者等紹介
山口道宏[ヤマグチミチヒロ]
ジャーナリスト、星槎大学准教授、NPO法人シニアテック研究所理事長、法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
83
2012年発行の本。2010年の無縁死は約3万2千人と書かれていた。12年後の現在、いったい無縁死はどれくらいの件数があるのだろう。団塊の世代が後期高齢者になってゆく今、これからもっと深刻になることは間違いない。血縁・地縁・社縁というが、高齢になれば自然と縁は薄れてゆく。夫婦でどちらかを介護して一方が亡くなれば残った者は誰が看取るのか、生活保護の一人暮らしの場合他、様々なケースが書かれていた。介護保険が始まった頃は、介護状態の時はほとんど保険で適用されるものだと思っていた。読むうちに憂鬱になった・・・2024/10/17
nyaoko
70
大長寿社会・日本は、今や大介護難民社会の日を迎えようとしている。国は施設型から、在宅型の自宅介護を推し進めているが、肝心な家族の介護力についてはどうだろう?これだけの長い不況は生涯未婚率を押し上げ、保険や年金を払えない若者を増やしている。更に長生きは良い事だと風潮する今の時代では、要介護者を増やし続け、施設にも入れない、蓄えもない、当然、稼ぐ力もない家族がいれば、否応なく介護難民となる。申請ありき、お金ありき、家族ありき、そして自己責任と言う考えを今私達は早急にやめなければならない。2016/03/26
どんぐり
20
現代社会を特徴づける無縁社会の実相やおひとりさまの老い、孤立、貧困を介護の現場からレポートする。ポイントは、「いざとなったら頼れる人」の存在。頼れる人がいない状態であることが「貧困」で、「無縁社会」とはそうした状況が社会的に拡大している実態である。地縁、血縁、社縁の無縁。定年とともに社縁が消え、年をとれば親や兄弟だってもう死んでいる、向こう三軒両隣なんて誰が住んでいるかもわからない、そんな無縁社会で老いをどう生きるか。ひとりで生きるとは、技をもつ、情報をもつ、人をもつこと。自立とは、「〇〇ができます」では2013/06/13
フクミミ
12
読めば読む程、暗澹たる気持ちになるのがこの手の本。石川さんの「したたかに老いる」の章が印象に残る。 年をとればとる程、コミュ力が大事になって来る。 困っていれば素直に「助けて下さい」と言えばいい。そしてそう言われたら自分に出来る事は力を貸そう。行政を頼ってみよう、しかし喧嘩はするな。なるほど~。2016/05/10
GX
6
誰もが、何かを喪失し、遂には得られなかったものを心に抱えているのかで、必要なことは、互いに支え合うことなのでしょうね。「幼いときの自立は、できないことを一つずつできるように学び身につけること。老いの自立とは、できなくなっていくことを一つずつ他者に委ねていくこと」2018/07/22