感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
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本書の刊行は2011年7月。大震災のわずか4か月後の緊急出版である。写真は主に在本彌生(写真家)によるもの。この時期のものだけに陸前高田市、石巻市、南三陸町などははまだ壊滅状態である。ただ、それらの写真はいずれもがソフトフォーカスめいた処理がほどこされており、色彩もなかばセピア色なのは何故だろうか。これでは、せっかくの現場写真が過去のもののように眺められてしまうのではないかと懸念する。後半は建築家やそうした関係の研究室が仮設住宅の問題を指摘したり、復興に向けてそれぞれ有為な提言をよせている。2022/02/23