出版社内容情報
分離独立運動はジハードなのか?
仏教徒が多数を占めるタイにおいてマレー系イスラーム教徒が多く住む深南部。
複雑な政治的・宗教的状況のなか、「サラフィー主義」とその教育が「マレー・ナショナリズム」の影響力を相対化しているといわれる状況を、フィールドワークをふまえて分析する。
内容説明
仏教徒が多数を占めるタイにおいてマレー系イスラーム教徒が多く住む深南部。複雑な政治的・宗教的状況のなか、「サラフィー主義」とその教育が「マレー・ナショナリズム」の影響力を相対化しているといわれる状況を、フィールドワークをふまえて分析する。
目次
第1章 タイ・ムスリムの創造
第2章 イスラーム伝統派と改革派
第3章 イスラームの管理統制とその限界
第4章 ポーノから学校へ―イスラーム改革派と教育の近代化
第5章 イスラームが生み出す社会の亀裂
第6章 イスラーム復興と政治
著者等紹介
西直美[ニシナオミ]
同志社大学一神教学際研究センター共同研究員。1987年生まれ。同志社大学大学院法学研究科政治学専攻、同大学院グローバル・スタディーズ研究科修了。博士(グローバル社会研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
タイ深南部ではムスリムが人口の8割を占め、マレー・ナショナリズムを掲げる武装組織による分離独立運動が続いてきた。これに対し、イスラームの原典回帰を志向する(サラフィー主義)改革派が、タイ政府との相互関係のもとイスラーム教育制度を深南部に構築し教育の近代化を図る。経済発展、教育、行政の問題を政府と協力して行うべきと考える改革派と、タイの支配のもとでは自発的な発展が阻害されると考える伝統派の分離主義者の間で対立が顕著になる。ただこの構図も流動的。改革派のジハード解釈も極めて多様。全体的に新たな発見が多かった。2023/07/19