出版社内容情報
▼レスボス島の田園を舞台にした少年と少女の恋物語。
▼ミレーやシャガールの作品モデルとしても知られる古典文学の解説書。
ロンゴス作『ダフニスとクロエー』(2世紀末~3世紀初め頃)は、オペラやバレエ音楽、またミレーをはじめとする多くの画家に題材とされたことで知られ、現代ではギリシア古典としての地位を確立している。本書では、一見すると素朴で単純な物語がいかに緻密に構成されたものであるのか、その奥深さを明らかにする。
目次
第1章 『ダフニスとクロエー』とは?
第2章 前日譚・一年目の春~夏(第1巻)
第3章 一年目の秋(第2巻)
第4章 一年目の冬・二年目の春~夏(第3巻)
第5章 二年目の秋(第4巻)
第6章 『ダフニスとクロエー』の世界像
著者等紹介
中谷彩一郎[ナカタニサイイチロウ]
慶應義塾大学文学部教授。1972年兵庫県生まれ。2001年ケンブリッジ大学古典学部修士課程修了後、2005年ウェールズ大学スウォンジー校古典学古代史エジプト学科博士課程修了。PhD(ウェールズ大学)。鹿児島県立短期大学文学科准教授などを経て現職。専門は西洋古典学、比較文学。ローマ帝政下のギリシア文学、とりわけ古代ギリシア恋愛小説について研究を重ねている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
44
作品を読み終わって、あらためて詳しい解説を求めて読む。「牧歌的」と評される作品が、実は緻密な構造をもっており、思いつくまま書き流されたものではないことは意外だったが、だからこそ古代から伝えられ生き残って、近世になって再評価されたのだろう。対立する要素を整然と配置しているとか、古くから伝わる常識を想起させる固有名、あるいはよく知られた古典のパラフレーズであるとか、いくつもの伏線が見事に回収され、前後が照応するように、最大限の効果をねらっていることなども明らかにされる。著者が準備中だという新訳も読んでみたい。2022/10/24