慶應義塾大学教養研究センター選書
理性という狂気―G.バタイユから現代世界の倫理へ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 107p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784766426694
  • NDC分類 950.28
  • Cコード C0310

出版社内容情報

▼私たちは理性を信頼してよいのか?

▼バタイユの思想から現代世界の倫理を考える。



20世紀フランスの最も重要な思想家の一人である、ジョルジュ・バタイユの思索を手がかりに、「理性への無条件な信頼」に警鐘を鳴らす。第二次世界大戦の経験をふまえたバタイユの思想の変化を辿り、ハンナ・アーレントやジャン=ピエール・デュピュイも参照しながら、「理性の暴走・狂気」を見据えた「倫理」の模索を提唱する。

目次

はじめに 私たちは「理性」を信頼してよいか
第1章 理性の鎖を解き放つために(実存と社会の変革―上下の「逆転」のダイナミズム;ファシズムとの対決と、その利用?;「悲劇」の世界の再現を目指して―「社会学研究会」と「アセファル」)
第2章 第二次世界大戦と「瞬間の倫理」(世界大戦の経験と新たなニーチェ解釈;広島の悲惨から「瞬間の倫理」へ;来るべき破局の回避に向けて―「全般経済学」の視点)
第3章 理性の暴走に備えよ(出発点としてのバタイユ;H.アーレント―「悪の陳腐さ」と合理性の追求;J=P.デュピュイ―悪の自然化と倫理)
おわりに 「正しさ」を制御するために―温暖化とAIの時代の倫理

著者等紹介

石川学[イシカワマナブ]
慶應義塾大学商学部専任講師。2014年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院博士課程教育リーディングプログラム「多文化共生・統合人間プログラム」(IHS)特任助教等を経て、2019年より現職。専門はフランス文学、フランス思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mealla0v0

2
バタイユの思想を「理性に対する明晰な批判理論」として取り出す。死の工場アウシュヴィッツや科学の産物としての原爆が合理的思考によって産み落とされたというだけでない、理性は人間の自由を制限するものとして、批判されなければならない。ただし、バタイユの思考は難解というよりは独特過ぎて、おそらく「一般受け」はありえない。この小著では、そうした独特さを解説するとともに、一般化が試みられている。とりわけ、重要なのは、社会革命に精神分析をひきつけ無意識によって可能とする議論(白井聡のレーニン論に通ずる)と、普遍経済学。2020/04/12

令和の殉教者

1
辞書で「理性」という言葉を引くと、「理性を失って突っ走る」などの例文が現れ、人はいかに理性的・非動物的であることが規範とされているかがわかる。しかし、理性とともに突っ走った結果が、原子爆弾であり、ジェノサイドなのだとしたら、理性を超えた新たな倫理が必要だ。本書はバタイユの人と思想を、特に戦争体験を中心に描いたものである。革命運動や秘密結社などを経て彼がたどり着いたのは、「瞬間の倫理」、つまり、明日への心配り=理性の束縛から自由になり、今この瞬間を生き生きと富を濫費しつつ存在するあり方である。2021/01/23

須崎

0
手頃な長さで、文章もむずかしすぎず読みやすかったです。社会主義革命やファシズム、大戦の分析に関しての記述が多く、エロティシズムの話などは少なめでした。

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15362380
  • ご注意事項