感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夏
20
『薔薇の名前』は、随所に記号論的分析、聖書分析、西洋中世研究、文学理論をふんだんに盛り込んだ小説である。ミステリー、探偵小説、歴史小説のいずれにも読むことができる、重厚な作品だ。この本はそんな『薔薇の名前』を、わかりやすく丁寧に紐解いてくれる良書であった。それもそのはず、まず参考文献の数が異様に多い。こんなにたくさんの本を参照したからこそ、こんなに興味深く読める専門書を書けたのだなと納得した。『薔薇の名前』が好きな人には是非読んでほしい一冊。この世界にまたもや誘われること間違いなし。★★★★★2022/11/07
kakoboo
10
薔薇の名前が100ページくらいでとまってしまったので、こちらにシフト。 原作も100ページくらいまでが難しくて編集者からしゅうせいするようにと言われたが、エーコかそれを拒否したみたいなので安心しました笑 中世を中世から語る試み、作品内に散りばめられたしかけ、そしてその当時の背景が学術的かつわかりやすく書かれていました。12-13世紀のみならずそれ以降に与えた影響や、20世紀になってわかったことなど、なんというかロマンを感じるものがありました。20年近く昔ですが世界史を勉強していたのが助かった… 2022/09/26
晶
5
薔薇の名前について詳しい解説をしてくれている。でもその解説すら私にはまだ難しい。だから飽きないんだろうな。薔薇の名前もまた読もう。大好きなショーンコネリーの映画もまた観よう。2021/11/07
warimachi
4
自分のような浅学の人間には、こういう解説書の存在がとてもありがたい。『黒死館殺人事件』が数年後の再読で読めるようになったのと同じく、『薔薇の名前』も人並みに理解できるときが自分にもいずれ来るのだろうか。2022/11/03
みかん
3
『薔薇の名前』の時代背景、物語の構造とその細部について分かりやすく説明されている。『薔薇』の舞台となる中世ヨーロッパにおける教権と俗権の対立、冒頭部分の作者がこの本を刊行するまでの経緯の解説は、自分にとって大変大きな助けとなった。つまり、物語のベースとなる部分を理解していないまま読んでいたということがはっきり分かった。『薔薇』の再再…読が楽しみになってきた。参考文献が巻末に一覧になっているのも◎2022/03/17