人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

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人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

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  • 商品コード 9784766424072
  • NDC分類 366.4
  • Cコード C0033

出版社内容情報

企業業績は回復し人手不足の状態なのに賃金が上がらないのはなぜか?22名の気鋭らが多方面から議論する経済学アンソロジー。“最大の謎”の解明に挑む!



働き手にとって最重要な関心事である所得アップが実現しないのは、なぜ?

22名の気鋭が、現代日本の労働市場の構造を、驚きと納得の視点から明らかに。



▼企業業績は回復し人手不足の状態なのに賃金が思ったほど上がらないのはなぜか? この問題に対して22名の気鋭の労働経済学者、エコノミストらが一堂に会し、多方面から議論する読み応え十分な経済学アンソロジー。

▼各章は論点を「労働需給」「行動」「制度」「規制」「正規雇用」「能力開発」「年齢」の七つの切り口のどれか(複数もあり)を中心に展開。読者はこの章が何を中心に論議しているのかが一目瞭然に理解できる、わかりやすい構成となっている。

▼編者の玄田教授はまず、本テーマがなぜいまの日本において重要か、という「問いの背景」を説明し、各章へと導く。最後に執筆者一同がどのような議論を展開したかを総括で解題する。

▼労働経済学のほか、経営学、社会学、マクロ経済、国際経済の専門家や、厚生労働省、総務省統計局、日銀のエコノミストなど多彩な顔ぶれによる多面的な解釈は、まさに現代日本の労働市場が置かれているさまを記録としてとどめる役割も果たしている。

 基本データ 人手不足と賃金停滞   玄田有史・深井太洋



 序  問いの背景   玄田有史



<b>第1章 人手不足なのに賃金が上がらない三つの理由   近藤絢子</b>

 <b>ポイント 【規制】【需給】【行動】</b>

  1 求人増加の異なる背景

  2 医療・福祉:介護報酬制度による介護職の賃金抑制

  3 「人手不足イコール労働力に対する超過需要」ではない可能性

  4 名目賃金の下方硬直性の裏返し

  5 複合的な要因解明が必要



<b>第2章 賃上げについての経営側の考えとその背景   小倉一哉</b>

 <b>ポイント 【制度】</b>

  1 賃上げ率と賞与・一時金の動向

  2 経団連の主張と主な特徴

  3 成果主義の普及

  4 経営環境の変化

  5 今後も不透明は漂う



<b>第3章 規制を緩和しても賃金は上がらない</b>

<b>――バス運転手の事例から   阿部正浩</b>

 <b>ポイント 【規制】【制度】</b>

  1 バス需要の増加と深刻な運転手の人手不足問題

  2 バス運転手の仕事と労働市場の特徴

  3 バス運転手の賃金構造の変化

  4 なぜ賃金水準は下がったのか

  5 バス運転手の労働市場の問題か



<b>第4章 今も続いている就職氷河期の影響   黒田啓太</b>

 <b>ポイント 【年齢】【正規】【能開】</b>

  1 「就職氷河期世代」への注目

  2 同一年齢で見る世代間賃金格差

  (1) 学歴別・性別によるちがい

  (2) 雇用形態別の給与額

  (3) 給与額増減の要因分解

  (4) 「就職氷河期世代」の労働者数に占める割合について

  3 「就職氷河期世代」の賃金が低い理由

  4 氷河期世代の悲劇



<b>第5章 給与の下方硬直性がもたらす上方硬直性   山本 勲・黒田祥子</b>

 <b>ポイント 【行動】</b>

  1 下方硬直性によって生じ得る名目賃金の上方硬直性

  2 名目賃金の下方硬直性が生じる理由とエビデンス

  3 企業のパネルデータを用いた検証

  (1) 利用するデータと検証方法

  (2) 過去の賃金カットと賃上げの状況

  (3) 名目賃金の下方硬直性と上方硬直性の関係

  4 日本の賃金変動の特徴と政策的な含意



<b>第6章 人材育成力の低下による「分厚い中間層」の崩壊   梅崎 修</b>

 <b>ポイント 【制度】【能開】</b>

  1 「欲しい人材」と「働きたい人材」のズレ

  2 「分厚い中間層」の崩壊

  3 New Deal at Workのジレンマ

  4 企業内OJTの衰退

  (1) 長期競争よりも短期競争

  (2) 経験の場の消失

  5 解決策は実現可能な希望なのか



<b>第7章 人手不足と賃金停滞の並存は経済理論で説明できる   川口大司・原ひろみ</b>

 <b>ポイント 【正規】【需給】【能開】</b>

  1 問題意識――パズルは存在するか

  2 企業の賃金改定の状況とその理由

  3 労働者の構成変化が平均賃金に与える影響

  4 女性・高齢者による弾力的な労働供給

  5 労働供給構造の転換点と賃金上昇

  6 賃金が上昇する経済環境を整えるために――人的資本投資の強化



<b>第8章 サーチ=マッチング・モデルと行動経済学から考える賃金停滞</b>

<b>佐々木勝</b>

 <b>ポイント 【需給】【行動】</b>

  1 日本だけの問題なのか

  2 標準モデルから予想できること

  3 モデルは循環的特性を再現できるか

  4 なぜ賃金調整は硬直的なのか

  5 賃金硬直性の帰結と背景



<b>第9章 家計調査等から探る賃金低迷の理由――企業負担の増大</b>

<b>大島敬士・佐藤朋彦</b>

 <b>ポイント 【年齢】【正規】【制度】</b>

  1 世帯の側からの視点

  2 世帯主の勤め先収入

  3 世帯主の年齢分布

  4 高齢化・非正規化の影響

  5 増加する賃金以外の雇主負担

  (1) 上昇する社会保険料率

  (2) 非消費支出比率の上昇

  (3) 世帯主の勤め先収入

  (4) 1人あたり雇主の社会負担

  6 社会保険料率等の引き上げの影響



<b>第10章 国際競争がサービス業の賃金を抑えたのか   塩路悦朗</b>

 <b>ポイント 【規制】【需給】</b>

  1 高齢化社会と「あり得たはずのもう一つの現実」

  2 パズルは本当にパズルなのか――国際競争に注目する理由

  3 イベント分析の対象としてのリーマン・ショック

  4 検証1:求職者は対人サービス部門に押し寄せたか

  5 検証2:求職者の波に対人サービス賃金は反応したか

  6 検証結果のまとめ

  7 労働市場で何が起きているのか? 図解

  8 今後の課題:なぜ対人サービス賃金は硬直的なのか



<b>第11章 賃金が上がらないのは複合的な要因による   太田聰一</b>

 <b>ポイント 【正規】【需給】【年齢】</b>

  1 原因は一つではない

  2 非正規雇用者の増大

  3 賃金版フィリップス曲線から

  4 誰の賃金が上がっていないのか

  5 議論――「世代リスク」にどう対処するか



<b>第12章 マクロ経済からみる労働需給と賃金の関係   中井雅之</b>

 <b>ポイント 【需給】【正規】</b>

  1 日本的雇用慣行の特徴から労働需給と賃金の関係を考える

  2 労働需給と賃金は必ずしも連動しない

  3 需給変動と内部・外部労働市場

  4 雇用の非正規化と一般の時間あたり賃金の動向

  5 労働市場の課題と労働政策



<b>第13章 賃金表の変化から考える賃金が上がりにくい理由</b>

<b>西村 純</b>

 <b>ポイント 【制度】</b>

  1 賃金の決まり方

  (1) 賃金表

  (2) 三つの要素

  2 昇給の仕組み(三つの方法)

  3 昇給額決定の実際

  (1) 「積み上げ型」の賃金表

  (2) 「ゾーン別昇給表」の登場

  (3) ベースアップ

  (4)賃金表変化の背景

  4 賃金を上げるために



<b>第14章 非正規増加と賃金下方硬直の影響についての理論的考察   加藤 涼</b>

 <b>ポイント 【正規】【年齢】【行動】</b>

  1 なぜ賃金は上がりにくくなったのか――問題の所在

  2 賃金が硬直的な下での正規・非正規の二部門モデル

  3 賃金の下方硬直性と上方硬直性

  4 人的資本への過少投資と賃金の上方硬直性



<b>第15章 社会学から考える非正規雇用の低賃金とその変容</b>

<b>有田 伸</b>

 <b>ポイント 【正規】</b>

  1 社会学と国際比較の視点から

  2 日本の非正規雇用とは何か

  (1) 正規/非正規雇用間の賃金格差

  (2) 賃金格差の強い「標準性」

  (3) 非正規雇用の補捉方法の特徴

  3 なぜ日本の非正規雇用の賃金は低いのか

  (1) 格差の正当化ロジックへの着目

  (2) 企業による生活保障システムと格差の正当化

  (3) もう一つの正当化ロジックと都合のよい使い分け

  4 非正規雇用の静かな変容

  5 なぜ賃金が上がらないのか――非正規雇用に着目して考える



<b>第16章 賃金は本当に上がっていないのか――疑似パネルによる検証</b>

<b>上野有子・神林龍</b>

 <b>ポイント 【需給】【年齢】</b>

  1 上がらない賃金?

  2 賃金センサス疑似パネルからみた名目賃金変化率

  3 賃金総額の変化の分解

  4 結論――上がらない賃金と人手不足傾向の解釈



結び 総括――人手不足期に賃金が上がらなかった理由   玄田有史



あとがき



執筆者一覧

玄田 有史[ゲンダ ユウジ]
玄田 有史
東京大学社会科学研究所教授
1964年生まれ。88年、東京大学経済学部卒業。ハーバード大、オックスフォード大各客員研究員、学習院大学教授等を経て、現在 東京大学社会科学研究所教授。博士(経済学)。
主著
『仕事のなかの曖昧な不安』(中央公論新社、2001年、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)
『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社、2004年、エコノミスト賞、労働関係図書優秀賞)
『孤立無業』(日本経済新聞出版社、2013年)
『危機と雇用』(岩波書店、2015年、冲永賞) ほか多数。

内容説明

働き手にとって最重要な関心事である所得アップが実現しないのは、なぜ?22名の気鋭が、現代日本の労働市場の構造を驚きと納得の視点から明らかに。

目次

人手不足なのに賃金が上がらない三つの理由
賃上げについての経営側の考えとその背景
規制を緩和しても賃金は上がらない―バス運転手の事例から
今も続いている就職氷河期の影響
給与の下方硬直性がもたらす上方硬直性
人材育成力の低下による「分厚い中間層」の崩壊
人手不足と賃金停滞の並存は経済理論で説明できる
サーチ=マッチング・モデルと行動経済学から考える賃金停滞
家計調査等から探る賃金低迷の理由―企業負担の増大
国際競争がサービス業の賃金を抑えたのか
賃金が上がらないのは複合的な要因による
マクロ経済からみる労働需給と賃金の関係
賃金表の変化から考える賃金が上がりにくい理由
非正規増加と賃金下方硬直の影響についての理論的考察
社会学から考える非正規雇用の低賃金とその変容
賃金は本当に上がっていないのか―擬似パネルによる検証

著者等紹介

玄田有史[ゲンダユウジ]
1964年生まれ。88年、東京大学経済学部卒業。ハーバード大、オックスフォード大各客員研究員、学習院大学教授等を経て、東京大学社会科学研究所教授。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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えちぜんや よーた

94
お賃金が上がらない理由を語り始めると255文字では足りないので、人的資源のミスマッチについて。正直なところOJTとか OffJTについてあーだこーだ言っている時点でもうがっくりした。最近公表されたIT人材白書によれば、個人の能力開発は「OSC(オープンソースコミュニティ)に移すべし。変化が速すぎて一企業では賄えないので」とのこと。OSCはなかなか良いですよー。やる気さえあれば身分に関わらず能力をのばすことができます、当然スキルアップでお賃金を伸ばしている方もいらっしゃいます。他の業界でも出来たらいいのに。2017/08/14

きいち

37
「人手不足」と「平均賃金の停滞」。相反する二つの事象がなぜ同時に起こっているのか。需給構造やデータの構成、人材投資の世代間ギャップに行動経済学と多様な観点ぶち込んでその構造の実体を明らかにしようという試み。いかに短絡的な解を導くこと、そしてそれに基づいて政策を組むことが間違いか、まずは理解させてくれる。◇見逃せないヒントがたくさん。中でも、人材育成/学習(人的資本投資)の観点。職場外で学習した人は賃金が上昇するにもかかわらず、学習の実施率が低下したままになっている点。政策的に手を入れる必要の大きさを痛感。2017/09/18

yamahiko

25
漠然と思っていたことが、論者の明晰な分析により腹に落ちる。2023/01/28

宇宙猫

25
挫折。専門的過ぎて読み切れない。2017/08/16

shikada

23
タイトルの疑問に対する様々な研究結果を紹介する一冊。個人的にもずっと疑問だったことなので、示唆に富む内容で非常に面白かった。人手不足と賃金低迷は統計から示される。人手不足に関わらず賃金上昇につながらない要因はさまざま。社会保障費の増大、価格規制(介護業界など)、非正規の増加、労働者の技能低下など。リーマンショック後、企業が労働者のOff-JTへの支出額を半減したとの統計には驚いた。これまで「不況だから?」程度の理解だったが、賃金低迷が複数の要因による構造的な問題であることが読み取れた。2021/04/18

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