出版社内容情報
「躁鬱」や「認知症」といった周りにあるテーマや、「アマミノクロウサギ訴訟」等、環境と法のもっとも基本であるべきことを考える。▼「あなたの大切な人」にとってのよい環境とは何だろうか? 環境法はもっと面白く、その裾野は広い。
▼公害や環境保全といった問題だけでなく、「認知症」や「躁鬱」といった“ 個々の人”の環境の問題までを考える。
▼社会問題の書籍として読めるだけではなく、弁護士、企業法務担当者、CSR 担当者にも必携の1冊。
「あなたの大切な人」にとってのよい環境とは何だろうか?
「これまであたりまえに思ってきたことにとらわれず、自分の頭で考えるということが、これほど求められている時代があったでしょうか。 この本を手にとってくださった方が、みんながそういっているけれど、本当はどうなのか、どうすれば本当のことがわかるのか、そこからなにを考え、これからどのように生きていったらいいのか、そんなふうに考えるようになってほしいと思っています」とは、本書にある著者のメッセージ。
1人1人がよい環境でいてほしい。
かつては裁判官として、また学生とともにある研究者として生きてきた著者が、「躁鬱」や「認知症」といった周りにある身近なテーマや、ウサギが原告となった「アマミノクロウサギ訴訟」等興味深いテーマをも、例にとりあげながら、環境と法のもっとも基本であるべきことを考える。
はしがき
<b>序 章 環境法の考えかた</b>
? 環境問題のとらえかた
? 環境問題と法の対応
? ある個人にとっての法という新たな視点から
<b>第1章 ユニバーサルデザインの環境法</b>
I ユニバーサルデザインの法
1 ユニバーサルデザイン
2 ユニバーサルデザインの条約と法律
3 アクセシビリティの条約と法律
? ユニバーサルデザインの環境法
1 緊急時における環境情報の提供
2 環境白書・環境影響評価書類
3 環境教育・広報活動・NGO
<b>第2章 そううつ・うつと環境法の問題</b>
? そううつ・うつ
1 そううつ・うつの症状
2 うつになりやすい世代
3 うつ病の治療目標
4 そううつ・うつの治療法
? そううつ・うつの人の感じかた
1 美しいながめ
2 聞こえてくる音
3 においの感じかた
? そううつ・うつの人のための法の関わりかた
1 どのような状況が問題なのか
2 裁判所はどのように考えているのか
3 どのような立法がされているか
? 環境法は何ができるのか
1 そううつ・うつの人たちのおかれている環境
2 環境法はそううつ・うつの人たちに何ができるのか
<b>第3章 認知症の人に向ける環境法の目</b>
? 認知症の人クリスティーン
1 認知症の人の発信
2 高い精神活動
? 認知症の人に向ける政府の目線
1 従来の目線
2 新しい目線
3 政府が説明する認知症の症状
? ある特定の認知症の人と向き合う環境法
1 佐藤雅彦のメッセージ
2 音に対する敏感さ
3 認知症の人の環境権
<b>第4章 ハンセン病と環境法</b>
? ハンセン病
1 ハンセン病とは何か
2 熊本地裁判決が認定した被害
3 熊本地裁判決とその後
4 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律
? ハンセン病であった人々をとりまくもの
1 物理的制限
2 園内の趣味
3 「元患者」という差別
? 犠牲となった人たちと私たち
1 私たちの社会
2 医学・医療界
3 マスコミと学会
4 司法
? より根源的なこと
1 断種・堕胎の強制のため家族がいない
2 知覚麻痺で失明することがある
3 人権の森
? 環境法のありかた
<b>第5章 基本法を創るもの 基本法が創るもの</b>
I 公害対策基本法
1 公害対策基本法制定に至る経緯
2 公害対策基本法の立法作業
3 経済調和条項
? 公害対策基本法の改正
1 公害対策基本法の改正作業
2 公害対策基本法の改正
3 経済調和条項削除が及ぼすもの
? 環境基本法
1 環境基本法制定に至る経緯
2 環境基本法の目的と理念
3 環境基本法が創るもの
<b>第6章 生活環境から環境一般へ</b>
I 生活環境に関する法の規定
1 公害の定義のなかの生活環境
2 生活環境の外延
3 人の生活と密接性
? 生活環境の範囲の拡大
1 動植物の生息と生育を保護するための化学物質規制立法
2 水生生物を保全するための環境基準・規制基準
3 都市景観を生活環境として法律上保護に値すると解した裁判例
? 生活環境から環境一般へ
1 生活環境における保護対象を広げようとする学説
2 一般にされている環境の定義
3 環境の定義の構成要素
4 環境の定義の試み
<b>第7章 環境の保全</b>
―― 基本理念における環境と経済
I 環境の保全についての基本理念
1 基本理念に至る経緯
2 基本理念と14条の施策策定の指針
3 下位の基本法の基本原則
4 実施法の位置づけ
? 基本理念(1)における環境の類型
1 環境基本法3条の構造
2 恵み豊かな環境
―― 基本理念(1)における環境の第1類型
3 人類の存続の基盤としての環境
―― 基本理念(1)における環境の第2類型
4 復元力を失わないこと
? 基本理念(2)における環境と経済の関係の展開
1 環境基本法4条の構造
2 環境と経済の「統合」
3 経済発展と経済成長
4 環境の2類型からの考察
<b>第8章 アマミノクロウサギ訴訟</b>
―― 開発者と反対者との対話
I アマミノクロウサギ訴訟に対する基礎的視点
1 事案の概要
2 奄美の小史
3 日本経済の状況
4 動物を原告として表示する訴状
? 環境NGO・住民などの原告適格
1 原告・控訴人らの主張
2 鹿児島地裁の判断(平成13年1月22日)
3 福岡高裁宮崎支部の判断(平成14年3月19日)
4 私の見解
? 自然との対話
1 原告・控訴人らのいう自然との対話
2 対話の現実
3 私の見解
<b>第9章 農業と環境を考える視点</b>
? 農業が環境に与える影響
1 農薬と肥料の使用
2 遺伝子組換え生物の使用
? 環境が農業に与える影響
1 農業就労者への影響
2 土壌への影響
? 農業と環境を考える4つの視点
1 自然の復元力の限界
2 生物の多様性
3 ゼロにできないリスクの和を最小にするという考えかた
4 農業のもつ正の外部性
あとがき
索 引
初出一覧
六車 明[ロクシャ アキラ]
六車 明
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)教授。
弁護士(京橋法律事務所)。専攻 環境法。趣味 フルート演奏。
1975年慶應義塾大学法学部卒業、1976年同大学大学院法学研究科修士課程民事法学専攻退学。同年司法修習生(30期・東京4班)。1978年東京地方裁判所判事補、1982年高松家庭裁判所判事補兼地方裁判所判事補、1985年東京地方検察庁検事法務省刑事局局付検事、1988年外務事務官(国際連合局)併任(ILO第4回公務合同委員会〔ジュネーブ〕政府代表顧問)、1989年東京地方裁判所判事、1991年仙台地方裁判所判事、1995年東京地方裁判所判事東京高等裁判所判事職務代行、1997年東京高等裁判所判事、1998年東京地方検察庁検事総理府公害等調整委員会事務局審査官、1999年東京高等裁判所判事。同年慶應義塾大学法学部助教授、2002年同大学法学部教授、2004年から現職。2014年弁護士登録(第二東京弁護士会。環境保全委員会・環境紛争制度部会所属)。
日米法学会評議員、環境法政策学会理事。…
内容説明
「あなたの大切な人」にとってのよい環境とは何だろうか?1人1人がよい環境でいて欲しい。かつては裁判官として、また学生とともにある研究者として生きてきた著者が環境と法のもっとも基本であるべきことを考える。
目次
序章 環境法の考かえた
第1章 ユニバーサルデザインの環境法
第2章 そううつ・うつと環境法の問題
第3章 認知症の人に向ける環境法の目
第4章 ハンセン病と環境法
第5章 基本法を創るもの基本法が創るもの
第6章 生活環境から環境一般へ
第7章 環境の保全―基本理念における環境と経済
第8章 アマミノクロウサギ訴訟―開発者と反対者との対話
第9章 農業と環境を考える視点
著者等紹介
六車明[ロクシャアキラ]
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)教授。弁護士(京橋法律事務所)。専攻、環境法。1975年慶應義塾大学法学部卒業、1976年同大学大学院法学研究科修士課程民事法学専攻退学。同年司法修習生(30期・東京4班)。1978年東京地方裁判所判事補、1982年高松家庭裁判所判事補兼地方裁判所判事補、1985年東京地方検察庁検事法務省刑事局局付検事、1988年外務事務官(国際連合局)併任(ILO第4回公務合同委員会(ジュネーブ)政府代表顧問)、1989年東京地方裁判所判事、1991年仙台地方裁判所判事、1995年東京地方裁判所判事東京高等裁判所判事職務代行、1997年東京高等裁判所判事、1998年東京地方検察庁検事総理府公害等調整委員会事務局審査官、1999年東京高等裁判所判事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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