出版社内容情報
政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!▼緩和一辺倒の政策手段から、いかに脱却するか
黒田東彦日銀総裁が遂行する「異次元緩和」政策は、目標に掲げたインフレ率2%の達成・維持と経済停滞からの脱却に至らないまま、「マイナス金利」という奥の手を導入した。この先の政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!
日銀は何ができて、何ができないのか ――
<b>序 章 QQEの実験から見えてきたもの</b>
QQEは「短期決戦」だった / 長期戦の戦局は悪化していった / マ
イナス金利導入:起死回生策も不発 / QQEが明らかにしたこと、
隠していること / 柔軟で透明な政策運営を
<b>第1章 非伝統的金融政策:私論</b>
<b>1 「普遍化」する非伝統的金融政策</b>
「全く次元のちがう金融緩和」の衝撃 / 非伝統的金融政策の分類 /
非伝統的金融緩和の歴史:日銀、FRB、ECBのイノベーション / リ
ーマン・ショックとFRB / 欧州中央銀行(ECB)の苦悩 / マイナ
ス金利というイノベーション / 「非伝統的金融政策=量的緩和」で
はない
<b>2 QQEの実験的性格</b>
QQEの効果を理論的に考える / マネタリーベースの増量 / 信用緩
和 / 長期金利の押し下げ / 現実の金融市場はちがう? / 意味深
長なバーナンキ発言
<b>3 非伝統的金融政策の倫理的側面</b>
嘘をつくことは許されるか / 国民負担の問題
【コラム】 日銀の作戦:なぜQQEは「バズーカ」になったのか
<b>第2章 QQEの成果と誤算</b>
<b>1 QQEがもたらした成果</b>
<b>(1)大幅な円安と株高</b>
野党党首だったから許された円安誘導発言 / 反転上昇の兆しが
あった株価
<b>(2)デフレ脱却の実現</b>
「デフレ脱却」未達感の理由 / デフレ脱却の条件はクリアできた
か
<b>2 QQE(アベノミクス)の誤算</b>
<b>(1)「2年で2%」の未達成</b>
「インフレ目標2%」は妥当な水準 / 三つの留意点
<b>(2)経済成長率の低迷</b>
「長期低迷の主因はデフレ」とは限らない / 最大のサプライズは
輸出の伸び悩み / 公共投資と駆け込み需要による攪乱
<b>(3)人手不足時代の到来</b>
うれしい誤算 / 賃金上昇の実態 / 労働集約型産業で人手不足が
深刻化
<b>3 QQEが明らかにした課題:潜在成長率の低下</b>
上がらない生産性 / エレクトロニクス産業の不振が生産性押し下げ
要因か / 需給ギャップの推計をめぐって / 資本ストックの不稼働
問題 / デフレ脱却は潜在成長率低下のおかげ?
<b>4 ハロウィン緩和の「誤射」</b>
不可解な緩和決定 / 「誤射」の結末:トリクル・ダウン戦略の破
綻 / ハロウィン・バズーカはミッドウェー海戦だったのか
【コラム】 人口動態、過剰貯蓄とデフレ:「長期停滞論」再考
<b>第3章 「リフレ派」の錯誤</b>
<b>1 「リフレ派」的思考法:主観主義・楽観主義・決断主義</b>
「リフレ派」を定義する / 「リフレ派」の主張は整合的か / リフ
レ派の困った議論?:後出しジャンケン / リフレ派の困った議論
?:精神論
<b>2 期待一本槍の政策論:主観主義の錯誤</b>
リフレ派の大本はマネタリズム / 自然利子率の概念 / テイラー・
ルール / マネタリーベースを金融調節の軸に据えるのは的外れ /
資産価格への影響を考える
<b>3 さまざまな「期待」:市場と企業・消費者の温度差</b>
円安・株高のはじまりは外国人投資家 / 金融市場と実物経済の非対
称性
<b>4 成長余力の過大評価:楽観主義の錯誤</b>
「日本経済は強い」という主張の根拠はどこにある? / リフレ派の
空想的楽観論
<b>5 「出口」なき大胆な金融緩和:決断主義の錯誤</b>
「出口」をいつまでも意識しないでよいのか / 日本に潜む「出口」
までの困難 / ジリ貧かドカ貧か
【コラム】 マクロ政策で潜在成長率の引き上げは可能か
<b>第4章 デフレ・マインドとの闘い</b>
<b>1 「デフレ・マインド」とは何か</b>
企業や家計の消極的な行動様式 / 賃上げに及び腰の労働組合 /
「学習された悲観主義」という日本病 / 三度の金融危機が慎重化を
促進
<b>2 「日本的雇用」とデフレ・マインド</b>
いまだ「世紀末の悪夢」から抜け出せず / メンバーシップ型雇用の
呪縛 / イノベーションの波に乗り遅れる日本企業
<b>3 物価の「アンカー」</b>
「錨」(アンカー)としての社会の基底に根づくもの / 安倍政権の
逆所得政策
<b>4 マネタリーベースの誤解</b>
マネタリーベースの意味が大きく変わった / 通貨発行益を考える /
ヘリコプター・マネー?
<b>5 QQEの行き詰まり</b>
市場も怪しい雲行きに気づき始めた / 国債大量買入れの限界
<b>6 短期決戦から持久戦へ:マイナス金利の導入</b>
金利政策への回帰 / 政策の枠組み変更の意義
<b>7 マイナス金利政策の功罪</b>
マイナス金利政策の効果と副作用 / マイナス幅拡大の制約 / マイ
ナス金利付きQQEの問題点
【コラム】 キャリー・トレードとしての量的緩和
<b>第5章 「出口」をどう探るか</b>
<b>1 「出口」の必須条件:財政の維持可能性への市場の信認 </b>
出口で何が起こるのか / 長期金利上昇と金融システムの安定性 /
欧州債務危機の教訓 / 「出口」の成否を決めるもの
<b>2 「成長頼み」の財政再建計画</b>
あまりに遠い財政健全化 / 債務残高・名目GDP比率について / 税
収弾性値をめぐる議論
<b>3 経済成長優先の幻想</b>
潜在成長率の低下がネックとなる / 消費増税の影響評価
<b>4 財政健全化の柱は社会保障改革</b>
消費税率アップだけでは財政健全化は達成できない / 社会保障改革
の本丸は医療・介護分野 / 成長戦略の役割
<b>5 QQEは市場を殺す政策</b>
国債を国内貯蓄だけで吸収できなくなる日が近づいている / 市場か
らの警告が聞こえない / マイナス金利政策への純化を
<b>6 市場とのコミュニケーションの再建を</b>
日銀の発信情報はもう信じられない / ピーターパンの誤解:「王様
は裸だ!」
【コラム】 金融抑圧は可能なのか
あとがき
参考文献
早川 英男[ハヤカワ ヒデオ]
早川 英男
1954年生まれ
77年 東京大学経済学部卒業、日本銀行入行
83?85年 プリンストン大学大学院留学(MA取得)
2001年 日本銀行調査統計局長
07年 同行名古屋支店長
09年 日本銀行理事 を経て
2013年 富士通総研経済研究所入所
現在 同研究所エグゼクティブ・フェロー
内容説明
緩和一辺倒の政策手段からいかに脱却するか。日銀きっての論客といわれた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!日銀は何ができて、何ができないのか。
目次
序章 QQEの実験から見えてきたもの
第1章 非伝統的金融政策:私論
第2章 QQEの成果と誤算
第3章 「リフレ派」の錯誤
第4章 デフレ・マインドとの闘い
第5章 「出口」をどう探るか
著者等紹介
早川英男[ハヤカワヒデオ]
1954年生まれ。77年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。83‐85年プリンストン大学大学院留学(MA取得)。2001年日本銀行調査統計局長。07年同行名古屋支店長。09年日本銀行理事を経て、2013年富士通総研経済研究所入所。現在、同研究所エグゼクティブ・フェロー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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