金融政策の「誤解」―“壮大な実験”の成果と限界

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金融政策の「誤解」―“壮大な実験”の成果と限界

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  • サイズ B6判/ページ数 288p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784766423563
  • NDC分類 338.3
  • Cコード C3033

出版社内容情報

政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!▼緩和一辺倒の政策手段から、いかに脱却するか



黒田東彦日銀総裁が遂行する「異次元緩和」政策は、目標に掲げたインフレ率2%の達成・維持と経済停滞からの脱却に至らないまま、「マイナス金利」という奥の手を導入した。この先の政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!



日銀は何ができて、何ができないのか ――

<b>序 章 QQEの実験から見えてきたもの</b>

  QQEは「短期決戦」だった / 長期戦の戦局は悪化していった / マ

  イナス金利導入:起死回生策も不発 / QQEが明らかにしたこと、

  隠していること / 柔軟で透明な政策運営を



<b>第1章 非伝統的金融政策:私論</b>

 <b>1 「普遍化」する非伝統的金融政策</b>

  「全く次元のちがう金融緩和」の衝撃 / 非伝統的金融政策の分類 /

  非伝統的金融緩和の歴史:日銀、FRB、ECBのイノベーション / リ

  ーマン・ショックとFRB / 欧州中央銀行(ECB)の苦悩 / マイナ

  ス金利というイノベーション / 「非伝統的金融政策=量的緩和」で

  はない

 <b>2 QQEの実験的性格</b>

  QQEの効果を理論的に考える / マネタリーベースの増量 / 信用緩

  和 / 長期金利の押し下げ / 現実の金融市場はちがう? / 意味深

  長なバーナンキ発言

 <b>3 非伝統的金融政策の倫理的側面</b>

  嘘をつくことは許されるか / 国民負担の問題

 【コラム】 日銀の作戦:なぜQQEは「バズーカ」になったのか



<b>第2章 QQEの成果と誤算</b>

 <b>1 QQEがもたらした成果</b>

  <b>(1)大幅な円安と株高</b>

   野党党首だったから許された円安誘導発言 / 反転上昇の兆しが

   あった株価

  <b>(2)デフレ脱却の実現</b>

   「デフレ脱却」未達感の理由 / デフレ脱却の条件はクリアできた

   か

 <b>2 QQE(アベノミクス)の誤算</b>

  <b>(1)「2年で2%」の未達成</b>

   「インフレ目標2%」は妥当な水準 / 三つの留意点

  <b>(2)経済成長率の低迷</b>

   「長期低迷の主因はデフレ」とは限らない / 最大のサプライズは

   輸出の伸び悩み / 公共投資と駆け込み需要による攪乱

  <b>(3)人手不足時代の到来</b>

   うれしい誤算 / 賃金上昇の実態 / 労働集約型産業で人手不足が

   深刻化

 <b>3 QQEが明らかにした課題:潜在成長率の低下</b>

  上がらない生産性 / エレクトロニクス産業の不振が生産性押し下げ

  要因か / 需給ギャップの推計をめぐって / 資本ストックの不稼働

  問題 / デフレ脱却は潜在成長率低下のおかげ?

 <b>4 ハロウィン緩和の「誤射」</b>

  不可解な緩和決定 / 「誤射」の結末:トリクル・ダウン戦略の破

  綻 / ハロウィン・バズーカはミッドウェー海戦だったのか

 【コラム】 人口動態、過剰貯蓄とデフレ:「長期停滞論」再考



<b>第3章 「リフレ派」の錯誤</b>

 <b>1 「リフレ派」的思考法:主観主義・楽観主義・決断主義</b>

  「リフレ派」を定義する / 「リフレ派」の主張は整合的か / リフ

  レ派の困った議論?:後出しジャンケン / リフレ派の困った議論

  ?:精神論

 <b>2 期待一本槍の政策論:主観主義の錯誤</b>

  リフレ派の大本はマネタリズム / 自然利子率の概念 / テイラー・

  ルール / マネタリーベースを金融調節の軸に据えるのは的外れ /

  資産価格への影響を考える

 <b>3 さまざまな「期待」:市場と企業・消費者の温度差</b>

  円安・株高のはじまりは外国人投資家 / 金融市場と実物経済の非対

  称性

 <b>4 成長余力の過大評価:楽観主義の錯誤</b>

  「日本経済は強い」という主張の根拠はどこにある? / リフレ派の

  空想的楽観論

 <b>5 「出口」なき大胆な金融緩和:決断主義の錯誤</b>

  「出口」をいつまでも意識しないでよいのか / 日本に潜む「出口」

  までの困難 / ジリ貧かドカ貧か

 【コラム】 マクロ政策で潜在成長率の引き上げは可能か



<b>第4章 デフレ・マインドとの闘い</b>

 <b>1 「デフレ・マインド」とは何か</b>

  企業や家計の消極的な行動様式 / 賃上げに及び腰の労働組合 /

  「学習された悲観主義」という日本病 / 三度の金融危機が慎重化を

  促進

 <b>2 「日本的雇用」とデフレ・マインド</b>

  いまだ「世紀末の悪夢」から抜け出せず / メンバーシップ型雇用の

  呪縛 / イノベーションの波に乗り遅れる日本企業

 <b>3 物価の「アンカー」</b>

  「錨」(アンカー)としての社会の基底に根づくもの / 安倍政権の

  逆所得政策

 <b>4 マネタリーベースの誤解</b>

  マネタリーベースの意味が大きく変わった / 通貨発行益を考える /

  ヘリコプター・マネー?

 <b>5 QQEの行き詰まり</b>

  市場も怪しい雲行きに気づき始めた / 国債大量買入れの限界

 <b>6 短期決戦から持久戦へ:マイナス金利の導入</b>

  金利政策への回帰 / 政策の枠組み変更の意義

 <b>7 マイナス金利政策の功罪</b>

  マイナス金利政策の効果と副作用 / マイナス幅拡大の制約 / マイ

  ナス金利付きQQEの問題点

 【コラム】 キャリー・トレードとしての量的緩和



<b>第5章 「出口」をどう探るか</b>

 <b>1 「出口」の必須条件:財政の維持可能性への市場の信認 </b>

  出口で何が起こるのか / 長期金利上昇と金融システムの安定性 /

  欧州債務危機の教訓 / 「出口」の成否を決めるもの

 <b>2 「成長頼み」の財政再建計画</b>

  あまりに遠い財政健全化 / 債務残高・名目GDP比率について / 税

  収弾性値をめぐる議論

 <b>3 経済成長優先の幻想</b>

  潜在成長率の低下がネックとなる / 消費増税の影響評価

 <b>4 財政健全化の柱は社会保障改革</b>

  消費税率アップだけでは財政健全化は達成できない / 社会保障改革

  の本丸は医療・介護分野 / 成長戦略の役割

 <b>5 QQEは市場を殺す政策</b>

  国債を国内貯蓄だけで吸収できなくなる日が近づいている / 市場か

  らの警告が聞こえない / マイナス金利政策への純化を

 <b>6 市場とのコミュニケーションの再建を</b>

  日銀の発信情報はもう信じられない / ピーターパンの誤解:「王様

  は裸だ!」

 【コラム】 金融抑圧は可能なのか



あとがき

参考文献

早川 英男[ハヤカワ ヒデオ]
早川 英男
1954年生まれ
77年 東京大学経済学部卒業、日本銀行入行
83?85年 プリンストン大学大学院留学(MA取得)
2001年 日本銀行調査統計局長
07年 同行名古屋支店長
09年 日本銀行理事 を経て 
2013年 富士通総研経済研究所入所
現在 同研究所エグゼクティブ・フェロー

内容説明

緩和一辺倒の政策手段からいかに脱却するか。日銀きっての論客といわれた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!日銀は何ができて、何ができないのか。

目次

序章 QQEの実験から見えてきたもの
第1章 非伝統的金融政策:私論
第2章 QQEの成果と誤算
第3章 「リフレ派」の錯誤
第4章 デフレ・マインドとの闘い
第5章 「出口」をどう探るか

著者等紹介

早川英男[ハヤカワヒデオ]
1954年生まれ。77年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。83‐85年プリンストン大学大学院留学(MA取得)。2001年日本銀行調査統計局長。07年同行名古屋支店長。09年日本銀行理事を経て、2013年富士通総研経済研究所入所。現在、同研究所エグゼクティブ・フェロー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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KAZOO

91
日銀出身のエコノミストの中では一番わかりやすい語り口です。白川元総裁や翁さんもかなりな論客でいらっしゃるのですがここまではっきりとはあまり言われてないような感じです。リフレ派の言っていることを論破して小気味いいくらいです。最後の方に書かれているのですが、「出口」戦略をどのようにしていくのかが今後の日銀の真価が問われることになるのではないかと思われます。2018/01/08

えちぜんや よーた

89
金融政策の是非を論じる本であるが、行き着く先は社会保障(特に医療・介護)と働き方をどのように改革するか。その厳然とした事実に目を向けさせるために、切れ味抜群の専門知識で金融政策にまつわる「誤解」をときほぐしたと言える。短期戦として始まった異次元緩和が、2016年時点で長期の持久戦に変わりつつあることを説いているが、コロナショックによる日銀株支えと財政出動でもはや「出口」など存在しない感じがする。そのうちIMFが日本の金融・通貨当局を占領するような気がしてきた。75年前にGHQが日本を占領していたように。2021/01/04

おさむ

43
日銀きってのわかりやすい語り口で知られていた早川氏。黒田総裁の下で展開された量的質的緩和政策をばっさり両断しています。そもそも短期決戦の政策だったのに、2%の物価目標にとらわれて、引き締めに方針転換できなかった。円安でも輸出は伸びず、企業は儲けても設備投資を増やさなかった。2013年4月の第1弾緩和を真珠湾攻撃、14年10月のハロウィン緩和をミッドウェー海戦になぞらえて失敗を指摘。待ち受けている出口戦略が日銀及び日本経済に大打撃を与えかねないと警鐘を鳴らしています。2016年度エコノミスト賞の良書でした。2017/04/24

koji

12
平易な語り口ですが刺激的な書です。1度目はじっくり読み、2度目は不明な点を考えながら読んでも、まだ理解できない所が多々あります。明らかに私の勉強不足ですが、制約された時間の中で、ひとまず本を措くことにしました。最も疑問は、筆者の「デフレ脱却は、潜在成長率の低下とQQEの効果が半々」という主張。日銀、内閣府の統計の食い違いも含めて理解が及びませんでした。一方共感点は、QQEの出口戦略(成否はともかく)への言及、イノベーション不足及びメンバーシップ型雇用の是正を主張したこと。いつかどこかで再挑戦したい書です。2017/03/20

yo

7
日銀がやってきた量的・質的金融緩和(QQE)の性質や効果を、その後のマイナス金利まで含めて検討する。全体として「QQEは短期決戦で終わらせなければならなかった」「今後はマイナス金利を中心に持久戦に持ち込む必要がある」「日銀はハロウィン緩和やマイナス金利導入の際にサプライズであることを意識しすぎて市場からの信頼を失ってしまったため、史上とのコミュニケーションを再建しなければならない」「出口を探る議論をしていないわけがないのだから内容を公開し議論すべき」といったかんじ。新聞などとは違う論調なので面白い。2017/01/25

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