出版社内容情報
本書では、空海の青年期から晩年にいたるまで、政治、社会・文化・宗教状況とのかかわりあいを詳述しながら空海の足跡をたどる。
▼著者が長年の思索をとおして逢着した、空海の真言思想の真髄を描き出す。
本書では、青年期から晩年にいたるまで、時代背景にそくして空海の足跡を丁寧にたどりながら、『聾瞽指帰』『請来目録』「勧縁疏」『般若心経秘鍵』などの代表著作を読み解き、その思想の核心たるマンダラ思想の萌芽と体系化の流れを、迫力ある筆致で描き出す。
まえがき
<b>序 章 仏教志向と秘門との出会い ―― 『聾瞽指帰』の撰述</b>
一 槐市の春秋 ―― 頗る藻麗を学ぶ
二 槐市から山林へ ―― 山藪を宅とし禅黙を心とす
三 秘門との出会い ―― 岐に臨んで幾度か泣く
<b>起の章 入唐留学と秘門の受法 ―― 『請来目録』の読み解き</b>
一 唐都長安への路 ―― 尋ぬるに一乗を以てす
二 梵語の学習と密蔵の受法 ―― 膝歩接足して彼の甘露を仰ぐ
三 真言思想形成の起点 ―― 真言は幽邃にして字字、義深し
<b>承の章 韜黙の一紀 ―― 「中寿感興の詩?びに序」の読み解き</b>
一 最澄との出会いと別離 ―― 仏法の大事因縁を商量す
二 「中寿感興の詩」に見る密蔵のおもい ―― 長夜に円融を<ruby>念<rt>おも</rt></ruby>う
三 意味の深みへ ―― 一字一画は衆経を呑んで飽かず
<b>転の章 密蔵法門の宣揚 ―― 「勧縁疏」の読み解き</b>
一 「勧縁疏」撰述の意義 ―― 三心平等なりと知るを大覚と名づく
二 「勧縁疏」への反響 ―― 得ることの<ruby>晩<rt>おそ</rt></ruby>かりしを恨む
三 顕密二教の対弁 ―― 諸仏の談話、是れを密蔵と謂う
<b>結の章 存在とコトバの深秘学 ―― 一字一文は法界に遍ず</b>
一 「即身」の意味の深みへ ―― 存在の深秘学
二 声字の実相 ―― コトバの深秘学
三 文字の読み解き ―― 意味の深みへ
<b>終 章 存在深層の構造</b>
一 十住心の教判思想 ―― 病源巨多なれば方薬非一なり
二 空海の教育思想 ―― 教育の中立性と総合性
三 深秘学の帰結 ―― 『般若心経秘鍵』の読み解き
【著者紹介】
高木 ?、元
1930年島根県に生まれる。1956年高野山大学卒業、1958年東北大学大学院修了。インド学仏教史学専攻。元高野山大学学長、高野山大学名誉教授、文学博士。
著書 『弘法大師の書簡』『古典ヨーガ体系の研究』『マータラ評註の原典解明』『初期仏教思想の研究』『空海思想の書誌的研究』『空海と最澄の手紙』(いずれも法蔵館)、『空海 ―― 生涯とその周辺』(吉川弘文館)、<i>K?kai on the Philosophy of Language</i>, Translated and Annotated with Thomas Eij? Dreitlein, Keio University Press など多数。
内容説明
空海の生きた時代背景にそくしつつ、代表著作を精緻に読み解くことで、その思想の核心たるマンダラ思想が、どのようにして生まれ、体系化されていったのかを迫力ある筆致で描き出す力作。
目次
序章 仏教志向と秘門との出会い―『聾瞽指帰』の撰述
起の章 入唐留学と秘門の受法―『請来目録』の読み解き
承の章 韜黙の一紀―「中寿感興の詩并びに序」の読み解き
転の章 密蔵法門の宣揚―「勧縁疏」の読み解き
結の章 存在とコトバの深秘学―一字一文は法界に遍ず
終章 存在深層の構造
著者等紹介
高木〓元[タカギシンゲン]
1930年島根県に生まれる。1956年高野山大学卒業。1958年東北大学大学院修了。インド学仏教史学専攻。元高野山大学学長。高野山大学名誉教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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