出版社内容情報
60年代の文化大革命、50年代の三反五反運動、反右派闘争、現在の反日デモなど、中国で生じる「熱狂と動員」の起源を解き明かす。
▼なぜ多くの「熱狂や暴力」は「大衆動員」と結びついてきたのか?
――1960年代に起こった文化大革命をはじめとし、50年代の三反五反運動、反右派闘争、大躍進運動、そして現在の反日デモなど、中国でしばしば生じる「熱狂と動員」のメカニズムの起源を、国民党による近代国家建設前夜から解き明かす試み。
▼1920年代、開港都市としての急激な経済成長をとげ、職を求める人々が集まった広東・上海・武漢の三都市を対象に、中国共産党と国民党がそれぞれの思惑から労働運動を動員に利用していく過程を、豊富な史料を通じて浮かび上がらせた注目の書。
序 章
1 社会現象としての中国労働運動
2 中国労働運動史をめぐる研究史
3 広東・上海・武漢における労働運動の特徴
4 一次史料と二次史料の扱いについて
5 本書の構成
第一章 熱狂する社会 ―― 本書の視点
1 熱狂する社会について ―― 大衆社会論の問題意識
2 孤立した集団
3 「孤立した集団」をめぐる議論への視点の追加
―― イデオロギーとジェンダー
4 本書の仮説
第二章 広東の動員装置
1 広東労働運者をめぐる諸環境
2 広東における国共両党の党組織 ―― 一九二〇~二七年
3 広東における国共両党の労働者組織 ―― 一九二一~二六年
第三章 党による広東労働者の動員
1 動員技術としての「ストライキ」 ―― 一九二二年
2 政府軍傭兵部隊としての紛察隊 ―― 一九二四年
3 混沌と紛争の拡大 ―― 一九二五~二六年
第四章 上海の動員装置
1 上海労働者をめぐる諸環境
2 上海における国共両党の党組織 ―― 一九二〇~二七年
3 上海における国共両党の労働者組織 ―― 一九二四~一九二五年
第五章 党による上海労働者の動員
1 党による動員の「失敗」―― 一九二二年
2 失業工頭と「打廠」戦術―― 一九二五年二月
3 混沌と紛争の拡大―― 一九二五年五月以降
第六章 武漢の動員装置
1 武漢労働者をめぐる諸環境
2 武漢における国共両党の党組織―― 一九二〇~二七年
3 武漢における国共両党の労働者組織―― 一九二二~二七年
4 湖北全省総工会
第七章 党による武漢労働者の動員
1 内陸の労働運動と党の接触―― 一九二二~二三年
2 党による再動員と蕭耀南政権の弾圧―― 一九二五年六月
3 混沌と紛争の拡大―― 一九二六~二七年
終章
1 三地域の共通点
2 三地域の相違点
3 結論 ―― 政治的含意と現代中国への展望
参考文献リスト
【著者紹介】
衛藤 安奈
中央大学経済学部、東海大学教養学部ほか非常勤講師。1981年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
主要業績:『救国、動員、秩序―変革期中国の政治と社会』(共著、慶應義塾大学出版会、2010年)、「1925年上海的二月罷工:囲繞中国工運史与『政治化』的考察」(台湾国史館『国史館館刊』第40期、2014年6月)、ほか。
内容説明
「熱狂や暴力」はなぜ「大衆動員」に結びつきやすいのか?国民党による近代国家建設前夜の一九二〇年代、開港都市として急激な経済成長をとげた広東・上海・武漢の三都市を舞台に、中国共産党と国民党がそれぞれの思惑から労働運動を動員に利用していく過程を描き、その後に続く「熱狂と動員」のメカニズムの起源を解き明かす試み。
目次
第1章 熱狂する社会―本書の視点
第2章 広東の動員装置
第3章 党による広東労働者の動員
第4章 上海の動員装置
第5章 党による上海労働者の動員
第6章 武漢の動員装置
第7章 党による武漢労働者の動員
著者等紹介
衛藤安奈[エトウアンナ]
中央大学、東海大学ほか非常勤講師。1981年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了、博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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