出版社内容情報
これから中国政治の研究を始めようとする読者の足がかりとなる、日本で初めてのガイドブック!学生や研究者が参照できる研究ガイド。
▼大きく変化し、ますます注目を集める現代中国政治。
海外を含むこれまでの主な研究・文献を分野別に整理し、問題設定・研究アプローチ(分析枠組み)・今後の課題と研究の方向性の見取り図を明快に描く、最新の研究ガイド。
▼中国政治を学び、研究対象とする、学部3・4年生(学部専門課程)・大学院生・および若い研究者たちが、自分のレポート・卒論・学位論文の研究テーマ・方向性を練り上げる際に参照できる水先案内であり、また、中国関係者・メディア関係者がこの分野における研究状況・研究者を把握しようとする際にも読める、もっとも信頼できるガイドブックである。
序文(高橋伸夫)
<b>総論</b>(高橋伸夫)
はじめに ―― 日本の中国政治研究が置かれている状況について
?T 近年における日本の中国政治研究の諸傾向
?U われわれの認識装置をいかに組替えるか
?V 本書の狙い
<b>第?T部 政治体系の環境を形づくる要素</b>
<b>第1章 政治文化の役割</b>(高橋伸夫)
はじめに ―― 政治文化の概念
?T 政治文化へのアプローチ
1 解釈学的アプローチと実証主義的アプローチ /
2 政治文化の概念をめぐる批判
?U これまでの研究 ―― 中国の政治文化の特徴をめぐって
1 解釈学的研究の代表例 ―― L・パイとR・ソロモン /
2 日本人による解釈学的研究 /
3 実証主義的研究の代表例 ―― A・ネイサンと閔?g
?V 中国の政治文化の変化と持続
―― グローバリゼ―ションのなかで
おわりに ―― 中国の政治文化研究の展望
<b>第2章 中国政治に対する外部からの影響</b>
―― グローバリゼーションと現代中国(江藤名保子)
はじめに
?T アプローチ ―― 中国政治の主体性と受動性をめぐって
1 二つの対立的なアプローチ /
2 戦後中国研究のパラダイム転換 /
3 現状に対するアプローチと新しい課題
?U 現状と課題 ―― グローバリゼーションと中国の政治体系
1 グローバリゼーションの理論的考察と中国 /
2 中国の政治経済とグローバリゼーション /
3 外部からの民主化圧力と中国の政治体系
おわりに
<b>第?U部 権力機構</b>
<b>第3章 中国共産党と中国政治</b>(小嶋華津子・加茂具樹)
はじめに ―― 政治体系と中国共産党
?T 中国共産党への視座
?U 中国共産党の政治的機能に関する先行研究
―― イデオロギーと組織
1 イデオロギー工作 / 2 組織工作
?V 巨大利権ネットワークと化した中国共産党とその将来
1 非制度的側面の把握 / 2 共産党統治の強靱性を測る基準
おわりに ―― 中国共産党研究の展望
<b>第4章 人民解放軍の役割</b>(毛利亜樹)
はじめに
?T 研究へのアプローチ
1 中国の軍事、安全保障研究の誕生 / 2 主要な分析枠組
?U これまでの研究
1 軍事専門化と政治統制の葛藤 / 2 解放軍の政治行動 /
3 改革開放時代の政治と軍事 / 4 天安門事件(1989年)
?V 現状と展望 ―― ポスト?ケ小平時代の政軍関係
1 制度による軍隊統制と軍の官僚化 / 2 軍隊の国家化? /
3 軍事と外交の調整
おわりに
<b>第?V部 政治体系への「入力」に関わる要素</b>
<b>第5章 政治参加</b>(中岡まり)
はじめに ―― 「政治参加」とは何か?
?T 現代中国の政治参加へのアプローチ
?U これまでの研究
1 1950~60年代 ―― 全体主義モデルからの脱却 /
2 1970~80年代 ―― 「政治参加」の定義拡大から研究対象の拡
大へ /
3 1980年代以降 ―― 民主化を促進するのか
?V 研究の現状と課題
1 米中における研究の相違 /
2 研究の現状 ―― 民主化の可能性と権威主義体制の維持の間で
おわりに ―― 研究の課題と展望
1 研究の課題 / 2 中国の政治参加の展望
<b>第6章 中国政治と「市民社会」</b>(小嶋華津子)
はじめに
?T 政治学における市民社会論の復活
?U 市民社会研究史 ―― 民主化の萌芽を求めて
1 市場経済化と市民社会の発展 /
2 自律的市民社会による民主化への期待と挫折
?V 中国の現実に即した市民社会理解の試み
1 「分析的市民社会論」と実態の量的把握 /
2 規範的市民社会論からの脱却と多面的・多層的実態の質的把握
おわりに ―― 日本からの発信:市民社会研究の展望
<b>第?W部 政治体系からの「出力」に関わる要素</b>
<b>第7章 政策決定と政策過程</b>(加茂具樹)
はじめに
?T 研究の射程
?U 研究の現状
1 政策決定機構の研究 / 2 分断化された権威主義 /
3 「強靱性」という概念 / 4 偽装された民主制度 /
5 二つの強靱性
おわりに
<b>第8章 中央・地方関係</b>(磯部 靖)
はじめに
?T 中央・地方関係へのアプローチ
1 主要概念 / 2 アプローチ
?U これまでの研究
1 毛沢東時代の中央・地方関係をめぐって /
2 ?ケ小平時代の中央・地方関係をめぐって /
3 ポスト?ケ小平時代の中央・地方関係をめぐって /
4 研究の現段階
おわりに
<b>第9章 国民統合</b>(田島英一)
はじめに ―― 本章の関心
?T これまでの研究
1 原初主義的な試み ―― 中国国内の研究から /
2 再構築される中国アイデンティティ ―― 天安門事件と冷戦崩壊
後の議論 /
3 大衆ナショナリズムの顕在化 ―― コソボ紛争と海南島事件後の
議論 /
4 少数民族問題 ―― 諸民族集団のエスノ・ナショナリズムと民族
政策
おわりに
<b>第10章 社会の統制</b>(金野 純)
はじめに ―― 社会統制へのアプローチ
?T これまでの研究?@ ―― 抑圧的統制
1 毛沢東時代の社会統制論 ―― 中国社会主義モデルからのアプ
ローチ /
2 近代化理論から見た逸脱と統制 ―― J・リュウらの共同研究 /
3 社会統制の組織分析 ―― X・グオ
?U これまでの研究?A ―― 情報統制
1 毛沢東時代のメディア統制 ―― 全体主義モデルからのアプロー
チ /
2 メディア統制への相互作用論的アプローチ ―― S・シャーク /
3 インターネット革命とオンライン・アクティビズム ―― G・ヤン
の多元相関論 /
4 「応対性のある権威主義体制」 ―― D・ストックマン
おわりに ―― 研究の課題と展望
<b>第?X部 政治体系の変化</b>
<b>第11章 民主化の可能性</b>(高橋伸夫)
はじめに
?T 概念とアプローチ
1 構造的アプローチ / 2 主意主義的アプローチ /
3 状況的アプローチ
?U 既存の研究
1 「下からの」民主化のポテンシャルに関する兆候発見主義的文献
群 /
2 中国における権威主義体制の「強靱性」について論じた文献群
?V 民主化への展望はいかに開けるか
1 不安定化しつつある均衡状態 / 2 均衡の崩壊と民主化の可能性
おわりに
<b>補遺 欧米の研究者による中国政治研究</b>
―― 道具箱のなかのあらゆる道具を使用する?(メラニー・マニオン/
上野正弥訳)
はじめに
?T 利用可能な方法論的ツール
?U 実際に使用されている方法論的ツール
?V 2013年に発表された三つの優れた研究
おわりに
人名索引・事項索引
【著者紹介】
高橋 伸夫
慶應義塾大学法学部教授・東アジア研究所所長。1960年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、法学博士。主要業績:『中国革命と国際環境―中国共産党の国際情勢認識とソ連、1937年~1960年』(慶應義塾大学出版会、1996年)、『党と農民―中国農民革命の再検討』(研文出版、2006年)、ほか。
内容説明
大きく変化する現代中国政治。海外を含むこれまでの主な研究・文献を分野別に整理し、問題設定・アプローチ・今後の方向性などの見取り図を明快に描く、最新の研究ガイド。
目次
第1部 政治体系の環境を形づくる要素
第2部 権力機構
第3部 政治体系への「入力」に関わる要素
第4部 政治体系からの「出力」に関わる要素
第5部 政治体系の変化
補遺 欧米の研究者による中国政治研究―道具箱のなかのあらゆる道具を使用する?