ヨーロッパの中世

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  • サイズ A5判/ページ数 438p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784766422061
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C3022

出版社内容情報

「ローマ」「キリスト教」「世俗権」「都市」「国民」「科学」など、ヨーロッパの基底となるキーワードから中世を読み解く。

近現代に結実する、豊穣なる中世

―― 中世とは真に暗黒の時代だったのか。
「ローマ」「キリスト教」「世俗権」「都市」「国民」「科学」など、ヨーロッパの基底となるキーワードから読み解く。

▼ヨーロッパ史を学び直したい人のために。

中世ヨーロッパは確かに暗黒の時代であった。しかし、近代において飛躍するヨーロッパを育んだ豊かな苗床の時代であったともいえる。
「ローマ」「キリスト教」「世俗権(王権・帝権)「都市」「国民」「科学」などのキーワードから中世ヨーロッパ史を読み解き、近代の「人間」の時代へと誘う。

▼中世を読み解くための6つのキーワード

【ローマ】中世人は模範として仰ぎ見た。政治的にも文化的にも深い刻印を残したが、中世は古代ローマの繁栄を1000年以上も超えられなかった。
【キリスト教】中世人の心を絶対的な規範として律した。人々はそのメッセージを遵守し、理想に殉じたが、時に軽んじ、自らの利益を優先した。
【世俗権】君主個人の能力やカリスマに基づいたが、教会との闘争を経て宗教性を減じ、官僚制と軍を備えた近代国家へと脱皮した。
【都市】西欧の復活にともない、社会全体の成長のエンジンとなった。生活を向上させるだけでなく、新興階層を出現させ、新しい文化を生み出した。
【国民】帝国でもなく宗教でもない、ヨーロッパが生み出した新しい統合の絆である。現在に至るまで世界を支配している。
【科学】近現代におけるヨーロッパの繁栄の源泉となった。技術を手がかりに、理論を実験や観測と結びつけ、新しい合理的な世界観を生み出した。
・・・そして【人間】へ・・・

<b>イントロダクション</b>
 1 時代区分
 2 自然条件

<b>第1章 大いなるローマ</b>
 1 ローマの遺産
 2 キリスト教の成立
 3 後期ローマ帝国
 4 荒れ野に生きる人々

<b>第2章 古代世界の終焉とゲルマン人</b>
 1 侵入
 2 帝国の衰退
 3 統合の模索
 4 ガリア
 5 海の彼方
 6 文化の継承

<b>第3章 フランク王国</b>
 1 メロヴィング朝
 2 カロリング家の台頭
 3 カール大帝
 4 カロリング・ルネサンス
 5 ベネディクト修道士
 6 カロリング家の退潮 

<b>第4章 隣人たち ―― 交流と緊張</b>
 1 コンスタンティノープル
 2 イスラーム
 3 東欧 
 4 ノルマン人

<b>第5章 鉄の時代 ―― 混乱と再編</b>
 1 異民族の侵入
 2 封建制 
 3 荘園と農民
 4 農業革命
 5 平和の回復

<b>第6章 皇帝</b>
 1 オットー朝 
 2 帝国教会政策
 3 11世紀中葉までのローマ教会
 4 カノッサの屈辱

<b>第7章 教皇</b>
 1 聖職者とは
 2 ヒエラルキー
 3 教皇権の「絶頂」
 4 帝国の落日
 5 アナーニ事件

<b>第8章 修道士</b>
 1 クリュニー 
 2 隠修士
 3 シトー会
 4 修道参事会士
 5 戦士のキリスト教化
 6 12世紀ルネサンス

<b>第9章 英仏の葛藤</b>
 1 プランタジネット朝
 2 カペー家
 3 イングランドの混乱と立憲制の萌芽

<b>第10章 都市</b>
 1 都市とは
 2 都市の人々
 3 人とモノの動き
 4 都市の文化
 5 アウトサイダーたち

<b>第11章 新しい宗教生活</b>
 1 異端:ワルド派、カタリ派
 2 托針修道会
 3 知の復興
 4 民衆のキリスト教化

<b>第12章 国民国家</b>
 1 百年戦争
 2 国民国家フランス
 3 バラ戦争:イングランド

<b>第13章 それぞれの国制の模索</b>
 1 帝国からドイツへ
 2 ブルゴーニュ
 3 イタリア
 4 スイス

<b>第14章 隣人から一員へ</b>
 1 北欧
 2 中東欧
 3 レコンキスタ
 4 コンスタンティノープルの落日
 5 帝国の後継者

<b>第15章 中世後期の教会</b>
 1 アヴィニョン教皇庁
 2 教会大分裂
 3 公会議主義運動
 4 「国民教会」に向かって

<b>第16章 衣食住</b>
 1 衣服
 2 食生活
 3 住居

<b>第17章 人の一生</b>
 1 子ども
 2 家族
 3 病気
 4 不安
 5 死

<b>第18章 宗教改革</b>
 1 人文主義
 2 ルター
 3 カール5世
 4 反宗教改革

<b>第19章 近代へ</b>
 1 古代の再発見
 2 大航海時代
 3 技術そして科学
 4 人間性の肯定

<b>エピローグ</b>

人名索引
事項索引

図版出典一覧

【著者紹介】
神崎 忠昭
略 歴:1957年生まれ。1989年3月慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。慶應義塾大学文学部教授。
専 攻:ヨーロッパ中世史。
主要著作:『地中海世界の旅人 ―― 移動と記述の中近世史』(共著、慶應義塾大学出版会、2014年)、ジャン・ルクレール『修道院文化入門 ―― 学問への愛と神への希求』(共訳、知泉書館、2004年)、「ヴェッティヌスの幻視 Visio Wettiniについて」『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』26、1994年等。

内容説明

中世とは真に暗黒の時代だったのか。「ローマ」「キリスト教」「世俗権」「都市」「国民」「科学」などヨーロッパ中世の基底となるキーワードから読み解く。

目次

大いなるローマ
古代世界の終焉とゲルマン人
フランク王国
隣人たち―交流と緊張
鉄の時代―混乱と再編
皇帝
教皇
修道士
英仏の葛藤
都市
新しい宗教生活
国民国家
それぞれの国制の模索
隣人から一員へ
中世後期の教会
衣食住
人の一生
宗教改革
近代へ

著者等紹介

神崎忠昭[カンザキタダアキ]
1957年生まれ。1989年3月慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。慶應義塾大学文学部教授。専攻:ヨーロッパ中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サアベドラ

13
ヨーロッパ中世史概説。著者は慶應義塾大学文学部教授。多少文章に癖があるが、内容は信頼できる。学部生や社会人が中世史の大掴みを得るのに適しているが、多少難しいところもあるので、『角川世界史辞典』などで調べながら読むとよいと思う。欠点は通読するには少々ボリュームがあるのと読書案内がついてないこと。より短い概説として服部良久他編『大学で学ぶ西洋史(古代・中世)』(ミネルヴァ書房、2006年)があり、こちらは参考文献表も付いているので合わせて参照するとよい。2016/05/29

刳森伸一

4
中世史の教科書的な本。「フランク王国」や「修道士」などテーマごとに中世を解説している。教科書的な本の宿命で読んでいて面白いわけではないのだが、一つ一つのテーマについて短いながらも丁寧に記述していて為になる。人物が次々に登場する章は頭が中々ついていかず、己の頭の悪さを呪うばかりであった。2017/07/18

MUNEKAZ

2
もとは大学の通信課程の教科書として企画されただけあって物語的な面白さはないけれども、その代わり中世ヨーロッパについて過不足なくまとめてあって好印象。「キリスト教」と「帝国」が全体を貫くテーマに思えるが、それ以外にも「都市」や「国民」といった付随する事項についても徹底解説しており、中世を俯瞰的に知ることができる。古代末期の混乱をキリスト教秩序によって乗り切った中世ヨーロッパが、相次ぐ戦乱の中で新たに国民国家として再編されていく流れがよくわかる。2016/12/10

じょあん

1
中世ヨーロッパを理解するのに必要な事柄を章立てて述べていく。この本の良いところは、中世の実態を解説しながら、それが近世や現代のヨーロッパへとつながっていくあり方なのだと意識させてくれるところだろう。ヨーロッパを理解する上でも価値ある内容。元々、大学の通信教育用のテキストだったということもあり、記述は教科書然としている。ひとつ残念なのは、参考文献欄が無いこと。つまり入門者がこの本で興味を持った分野について、さらに知識を深めようと参考文献欄から別の文献を拾うという次の一歩を踏み出すための案内にはならないのだ。2019/06/29

壕野一廻

0
中世ヨーロッパというものを皇帝、教皇、都市などと様々な切り口で論じている。ふわふわとしたイメージが先行しがちだけれど、少しはイメージが固まったと思う。 農業の動向や大衆文化などにも触れられていてよかった。2021/06/04

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