内容説明
第一次大戦での奮闘と捕虜生活、第二次大戦期のナチスによるパリ陥落とロンドンでの亡命政府樹立、アルジェリア独立戦争の解決と第五共和制創設、大統領への就任、そして五月騒乱へ。本書は、この激変する現代ヨーロッパ史をたどりながら、第五共和制大統領時代の「行動の自由」を求めた自立外交、アメリカ・ソ連に対する「第三の極」としてのヨーロッパ、というドゴール外交の特徴と行動に焦点をあてる。そして、民主主義の中の政治的リーダーシップという今日的課題への答えを探っていく。
目次
第1章 フランス崩壊への道
第2章 レジスタンスの英雄―ロレーヌ十字の下に
第3章 「砂漠の横断」―政治家への道
第4章 アルジェリア独立をめぐる内戦の危機と第五共和制
第5章 同盟も自立も
第6章 ドゴール時代の全盛と終焉
著者等紹介
渡邊啓貴[ワタナベヒロタカ]
東京外国語大学大学院教授。1954年生まれ。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業。同大学院地域研究科修士課程、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程、パリ第1大学大学院博士課程修了(DEA)。パリ高等研究院・リヨン高等師範大学院客員教授、ジョージ・ワシントン大学シグールセンター客員研究員、『外交』『Cahiers du Japon』編集委員長、日仏政治学会理事長、在仏日本大使館公使(2008‐2010年)などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イノ
8
honzから。空港名や地名になったフランスの英雄に興味を持ったから。 生まれてから死ぬまで丸ごと入ってる。 近代の知識はほとんど無いので世界情勢 を読み解くには難しかった。 時間はかかったけど最後のほうは面白く 読み応えがあった。 2016/02/28
MUNEKAZ
5
ド・ゴールの評伝。救国の英雄、フランス大統領と常に自らの「正当性」に拘る姿勢が印象的。そのため非常に「演出的」というか、周りからどう見られるかを意識した言動が多く、ときには滑稽にも思えるほど。ただ自由フランス軍時代に感じた英米への不信感がその根深い所にあり、それがドイツを巻き込んでの欧州統合に繋がっていく。またNATO脱退やアルジェリア問題、核開発といった軍事・外交面ばかりが注目されるが、「第五共和政」という現在まで続くフランスの国制を作り上げたことも、彼が祖国で敬愛されている大きな理由だと思った。2019/05/21
ゆきまさくん
3
シャルル・ド・ゴールの生涯を綴った一冊。西欧政治に詳しい渡邊啓貴先生の他の著書もわかりやすかったが、これも秀逸。ド・ゴールに関しては、強いリーダーシップは評価されているものの、巷間言われている傲岸不遜、孤高、ワンマン、傲慢、冷徹などのイメージに囚われていたが、この書を読んで改めて認識が変わった。フランスの気高き愛国者であり、質素で家族をこよなく愛する家庭人であると理解した。戦時中から最初の政権までの救国者としての姿と、13年の雌伏を経て復権し、第五共和制を成し遂げた「政治家」としての姿の違いが鮮明だった。2020/08/14
Fumihiko Kimura
3
戦中、米英の支援で瀕死の戦勝国となりながら、戦後には米英に窮鼠猫を噛むが如く楯突き、自国の自由領域を確保しようとするドゴール氏の論理は、現代日本において意外に今日的な意味を持っておるように感ず。危機に際して頼られるドゴール、かくの如き日本政治家や何処。2019/07/02
夢仙人
2
意思の強さ、冷静な判断、実行力に感銘を受けた。2015/08/07