内容説明
朝鮮戦争停戦から文革前夜へと至る、台湾問題をめぐる中国の政治外交史を、「一つの中国」原則の起源という視点から論じる。中国と台湾の史料を中心とするマルチ・アーカイブを駆使して、「台湾解放」から「一つの中国」へと移行する毛沢東外交のプラグマティックな側面を浮き彫りにした、注目の書。
目次
序章 中国外交と台湾
第1章 第一次台湾海峡危機と「二つの中国」問題の生起(一九五四‐一九五五年)
第2章 「平和共存」の時代と「二つの中国」問題の深刻化(一九五五‐一九五七年)
第3章 第二次台湾海峡危機と「一つの中国」論の生起(一九五八年)
第4章 中ソ対立と「一つの中国」論の動揺(一九五八‐一九六一年)
第5章 「大陸反攻」への反対と「一つの中国」論の確認(一九五九‐一九六二年)
第6章 冷戦構造の多極化と「一つの中国」原則の形成(一九六二‐一九六五年)
結論 「一つの中国」原則の起源とその論理
著者等紹介
福田円[フクダマドカ]
国士舘大学21世紀アジア学部准教授。1980年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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那由田 忠
18
この本であまり触れられていないのが国共内戦の経緯である。つまり、蒋介石が台湾に逃げ込まざるを得なくなり、たとえ彼らが「民主勢力」と言いがたい面が多々あったとしても、毛沢東よりははるかに民主的だっただろうにアメリカは一時期見捨てようとしていた。朝鮮戦争の勃発で事態が劇的に変わった、ということに初めて気づかされた。蒋介石がムダに「大陸反抗」を唱え続けたため、北京政府が統治をしたこともない台湾が、「中国の一部」という奇妙な論理が生き残ってしまった経緯がよくわかる。中ソ対立の理由とも関連していて刺激的である。2021/06/16
ゆきんこ
0
まとめ書き(サボり)2022/08/26