内容説明
著名な社会学者のベッカー先生が、学術論文の作法とその心得を伝授。書く前の心の準備、読者の嘲笑への恐怖、書き直しのジレンマ、文献の取り扱い方など、迫りくる「書く」苦しみをどのように乗り越えるか、たくさんのヒントを与えてくれる。ベッカー先生の叱咤激励が、きっとあなたの背中を押してくれるはず。学生、研究者だけでなく、白い紙の前に座る「書く人」すべてに贈る希望の一冊。
目次
1 大学院生のための基礎英語
2 ペルソナと権威
3 「ただ一つの正しいやり方」という幻想
4 耳を使っての編集
5 プロフェッショナルとしての書き方を学ぶ
6 リスク
7 ドアの外へ出す
8 文献に怯える
9 コンピュータで書く
10 むすびの言葉
著者等紹介
ベッカー,ハワード・S.[ベッカー,ハワードS.][Becker,Howard S.]
1928年シカゴ生まれ。社会学者。シカゴ・ノースウェスタン大学、シアトル・ワシントン大学で教鞭をとった。「ラベリング理論」を提唱したネオ・シカゴ学派の一人。ジャズピアニストでもある
小川芳範[オガワヨシノリ]
1962年生まれ。慶應義塾大学非常勤講師。専門は、分析哲学、哲学史。86年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。2002年、ブリティッシュ・コロンビア大学哲学科博士号取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆☆☆☆☆☆☆
4
これは素晴らしい一冊。最初から完璧な原稿を出せる人間など誰一人いないこと、論文を書くとはほとんどが書き直し作業であること、そして何でもいいからとにかく殴り書いて誰かに見せること。文系学者なら誰もが血反吐を吐きながら身につけてきた考え方(そして去っていった仲間たちが最後まで理解できなかったこと)がここにすべて書かれていた。特に第一章は、M1の学生には絶対に読ませるべき。2017/04/09
壱萬弐仟縁
4
「自分の場合、原稿を活字にするまでに通常八ないし十回は書き直しをすること」(8ページ)を慣例にしているようだ。推敲に次ぐ推敲を重ねて引き締まった文章にして読者に思いやりをもつことの大切さを教えてもらった。そのことは本欄の短い字数も同様に思える。逸脱行動の専門家の著者だけに、いろいろな異分子の事例が書かれているようにも思える。常識の逸脱が学術論文であるので、奇妙な社会事象に関心をもつのは社会学者の性である。例外に関心を寄せる研究ならいじめ問題も徐々に改善に向かうと思う。日本社会研究とはいじめ研究であろう。2012/10/30
読書メーターユーザー
1
大学入学後しばらくしてから読んだ。もとは英語の本なのに文法に関して日本語にも通じることを言っているのに驚いた。学術的っぽさを出すためにわざと回りくどい言い方にする、自信がないからとりあえず受動態にする、などは英語の悪文なんだなと気づいた。日本語でもやってしまいがち。雑誌論文でも大学の課題でも仕事の文書でも、読者は貴重な時間を割いてでも自分の書いた文書を読もうとしてくれている。そう思うと、やはり簡潔で率直な文体は大事だと考える。 あと「ドラフトをいっぱい書け、恥じるな」というのも有用なアドバイスだった。2017/01/01
葉
1
院生を対象にしている本である。学部生から院生に上がった途端にレベルが上がるため、それについていくために必要な事項が体験記形式で述べられている。フローチャートなどはよかったが、もう少し構造的にインプットさせるような形が個人的によかった。研究者としてのおもしろ話などもあり、興味深い内容が組み込まれている。英語で論文を書くときの注意事項やリスクやコンピュータで書くことについて書かれている。2014/05/07
Y.U
1
旅行記を書いてみる気になった2014/04/04