悲しみにある者

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784766418705
  • NDC分類 936
  • Cコード C0097

内容説明

愛する者の死は、突然、訪れる。長年連れ添った夫、ジョン・ダンの突然の死。生死の淵を彷徨う、一人娘、クィンターナ。本書は、一人の女性作家が、夫を亡くした後の一年間と一日を描くノンフィクションである。近しいひと、愛するひとを永遠に失った悲しみと、そこから立ち直ろうとする努力についてのストーリーである。ジョーン・ディディオンは、夫を亡くした後の一日一日について、時に率直に心情を吐露し、時に冷静に自己と周囲とを観察する。フラッシュバックのように回想が挿入されるかと思えば、文献渉猟の成果が生のまま紹介され、脳裡に甦るさまざまな詩や小説や映画に慰められるかと思えばクィンターナを巡っての医師との攻防がシニカルに描かれもする、一筋縄ではゆかぬこの作品は、2005年10月に刊行された。ディディオンの筆力にテーマの普遍性も相俟って、本書は同年度の全米図書賞も受賞し、全米大ベストセラーになった珠玉のノンフィクションである。

著者等紹介

ディディオン,ジョーン[ディディオン,ジョーン][Didion,Joan]
1934年カリフォルニア州サクラメント生まれ。現在ニューヨーク州在住。1956年UCバークレー校を卒業後、『ヴォーグ』誌の編集に携わる。処女小説Run,Riverは1963年に出版された。1964年に作家のジョン・グレゴリー・ダン(1932年‐2003年)と結婚。1966年に生後間もないクィンターナを養女にする。初のノンフィクションSlouching Towards Bethlehemは1968年に出版された。小説、ニュージャーナリズム、映画脚本、書評、新聞・雑誌への寄稿など、ジャンルを問わず旺盛な作家活動を続ける

池田年穂[イケダトシホ]
1950年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部、同文学研究科修士課程修了。現在、慶應義塾大学教授。専門は移民論、移民文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ecriture

18
全米図書賞受賞、ピューリッツァー賞にもノミネートされたノンフィクション作品。作家である夫の急逝を作家である妻が悲しむ(悼むのではなく)話。悲しみ(grief)は予期しえぬものであり、個人的なもの。残された者は「冷静な方」であることを望まれ、いつからかその悲しみが自己憐憫に堕していないか自己監査せねばならなくなった。しかし、ディディオンは堂々と"magical thinking"を表に出す。ヒト以外の動物もパートナーの死を悲しむ。たとえ自らの慰撫のために呼び出す亡霊であっても少しくらい構わないのだと。2012/07/05

ndj.

11
「私は今日初めて、昨年の今日の記憶なるものがジョンとは関わりがないことを理解した。昨年の今日は二〇〇三年一二月三一日。ジョンは昨年の今日を知らなかったのだ。彼はもう亡くなっていたのだ。」ここが一番ガツンと来た。夫の突然の死から一年と一日後に本書は脱稿されているが、喪失の悲しみを無理矢理乗り越えようとするのでなく、時系列を無視して挿入される回想も含めて(回想とはそういうものだ)ただ経過を追っていく。マジカル・シンキングを言葉に変換することは有益な自己セラピーでもあっただろう。今の私にはとても必要な本だった。2016/04/06

きゅー

9
作家ジョーン・ディディオンの娘が肺炎と敗血症ショックのためICUに搬送されたのは2003年の12月25日。ジョーンと、同じく作家の夫ジョンの二人は娘の容態を心配しながら日々を過ごしていた。その夫が5日後の12月30日に冠動脈発作に襲われて死去する。ジョーンは夫の死によって生じた心の中の空虚さについて書き綴る。彼女は12月30日のその日に夫が何を考えていたのか、何を煩っていたのか、何を書いていたのか調べようとする。2019/01/31

さり

7
くらい2021/07/01

ケニオミ

6
突然夫を亡くした作家が夫の死とその後の1年についての回顧録です。原題が「The Year of Magical Thinking」とあるとおり、Magical Thinking(ある特定の行動を採れば亡き夫を取り戻せる考え)に取りつかれ、次第に喪に服すようになる構成となっています。著者が著名な作家で、論理的な思考を身に付けているはずなのに、Magical Thinkingに囚われてしまうのは、読んでいて憐みを誘います。また、同時期に生死をさまよった一人娘を彼岸から連れ戻す努力には母親の力強さを感じます。2012/01/31

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