内容説明
20世紀を代表する長篇小説『失われた時を求めて』は、超俗的な審美主義者が描いたものではない。この長篇ではいくつかのモチーフが音楽のように反復され変奏されつつ語られてゆく。主人公は自らの歌を交響楽のように変奏し、詩と批評とユーモアを含む精神の祝宴の世界に読者を招いていく。読者に読後、さらに新たな展開を促していこうとしたプルーストと作品をリアルに読み解いていく。
目次
1章 響きつづける声(就寝劇 母なるもの;ゲルマント公爵家と医者たち ほか)
2章 恋人アルベルチーヌ スワン夫人(『囚われの女』から『消え去ったアルベルチーヌ』へ;マラルメの数篇の詩 ほか)
3章 料理女フランソワーズ(コンブレの日曜の昼食;フランソワーズと教会 ほか)
4章 芸術作品が促すもの(作曲家ヴァントゥイユ;愛の喪失 ほか)
5章 交響する小説(読書と模作の実践;新しいロマネスク ほか)
著者等紹介
牛場暁夫[ウシバアキオ]
1946年生まれ。パリ第4大学とエコール・ノルマル・シューペリウールに留学、パリ第4大学博士。慶應義塾大学研究科博士課程中退。慶應義塾大学文学部教授。専門は、マルセル・プルーストと19‐20世紀フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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