内容説明
台頭する中国は、日中関係を揺さぶり、既存の国際秩序の在り方を大きく変えつつある。本書は、中国外交を規定する「歴史」要因の変容と戦後日中関係の展開を考察するとともに、過去60年の中国外交が強い政治主導および国益中心主義に導かれてきたことを明らかにし、その延長線上に今日の高まる自己主張があることを示唆する。中国外交の表層に囚われることなく、その内なる論理を理解するための一冊。
目次
第1部 「歴史」と戦後日中関係(中国における「戦争責任二分論」の系譜―蒋介石・毛沢東・周恩来、日中戦争の語り方;中国の歴史教育と対外観(1949‐2005)―「教学大綱」と歴史教科書を中心に
中国政治と歴史解釈―「抗日戦争勝利60周年」における抗日戦争史観の転換
戦後初期日中関係における「断絶」の再検討(1958‐1962)―「闘争支援」と「経済外交」の協奏をめぐって
中国の対外開放路線と日本(1976‐1982)―対外開放論理の変容と日中関係の経済化)
第2部 中国外交の諸相(中国の対外政策におけるシンクタンクの実像―国際関係研究所の創設と発展を中心に;台湾問題をめぐる中ソ関係(1954‐1962)―「一つの中国」原則の形成におけるソ連要因
「核」にみる中印関係
中国の対西欧諸国政策―1964年の中・西独政府間会談を中心に
中国の地方経済の発展とグローバル経済―中国自動車産業と地方政府の戦略的関係性 ほか)
著者等紹介
添谷芳秀[ソエヤヨシヒデ]
慶應義塾大学法学部教授、同大学東アジア研究所所長。1955年生まれ。ミシガン大学大学院政治学専攻博士課程修了、Ph.D.(国際政治学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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