内容説明
京都堀川の古義堂を拠点に活躍、後世にまで広範な影響力を持った近世日本の儒者・伊藤仁斎。彼の思想を教育思想史の観点から追究し、現代教育学への遺産として再評価する試み。朱子学との対話・対決を経て、独自の学問=古義学を創始するに至る軌跡を描き、人間の変化や成長に微細な眼差しを向けたその教育理論の体系を析出する。西欧からの影響に偏した明治以降の教育学を相対化し、あるべき教育を改めて問い直す、畢生の大著。
目次
序論 近世教育思想史研究の動向と課題(研究の目的と方法論的枠組み;近世教育思想研究史概観)
本論 伊藤仁斎の教育思想研究(伊藤仁斎の生涯とその思想史的環境;仁斎教育思想の構造と内容)
著者等紹介
山本正身[ヤマモトマサミ]
1956年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、日本教育思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
1
教育思想史専門の学者による、仁斎学における「教育」とは何か、を論じた本。著者には、近世における教育思想と近代におけるそれとの連続と断絶とを考えるにあたって、近世における教育を近代教育の「前史」「萌芽」としてとらえるのではなく、それ自体として論じる視線が希薄だったのではという認識がある。仁斎学をテキストに沿って読み込んだ上で、性-道-教という3つの重点の置き方から朱子学、仁斎学、徂徠学を比較検討し、それと対比的に道=天祖の神勅に拠る後期水戸学とそれに親和的なものとして明治の元田・「儒教主義」を照射する。2014/12/05
ねこみ
0
神2014/09/28