内容説明
17世紀フランス古典主義の画家ニコラ・プッサンは、絵画的比喩を駆使し、カンヴァスにあらゆる「意味」を託した。リシュリュー枢機卿の依頼で描いた作品、友人に送った作品をつぶさに分析し、プッサンのたくらみを明らかにする快著。
目次
第1章 プッサンと古代美術(プッサンと古代美術の関係についての諸見解;「マルスとウェヌス」の図像伝統と寓意的意味;プッサン作“マルスとウェヌス”の図像分析;プッサンの「絵画的比喩」と古代美術;本章の結び―古代受容と「絵画的比喩」)
第2章 作品の意味生成―リシュリュー城「王の陳列室」の装飾における“バッコスの勝利”と“パンの勝利”(先行研究と問題の所在;リシュリュー城「王の陳列室」の再構成と部屋の性格;マントヴァの作品入手と当初の装飾構想;プッサン作“バッコスの勝利”の作品分析;プッサン作“パンの勝利”の作品分析;プッサンの作品とマントヴァの作品の形式的対応;「王の陳列室」内でのマントヴァの作品群;プッサンの作品とマントヴァの作品の対応―「王の陳列室」装飾全体の意味)
第3章 プッサンとフランス古典主義の形成―画家の戦略の観点から(先行研究と問題の所在;プッサン作“ネプトゥヌスの勝利”の作品分析;“連れ去られるリナルド”と“アイネイアスに武具を指し示すウェヌス”に見る古代美術とラファエッロの受容;本章の結び―プッサンとフランス古典主義)
著者等紹介
望月典子[モチズキノリコ]
2008年慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(美学)。現在、慶応義塾大学文学部ほか講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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