内容説明
コロンブスは知っていたのだろうか。ゆで卵をテーブルに置いて速く回すと、卵はやがて立ち上がる。そして、さらに高速で回すと、卵はテーブルからひとりでにジャンプするという…。
目次
プロローグ 『ネイチャー』二〇〇二年イースター号
第1章 物理学百年の謎
第2章 謎との格闘
第3章 英国と日本
第4章 〓(そっ)啄
第5章 謎の解明
第6章 身近な不思議
第7章 未知現象
第8章 真実の証明
エピローグ 『英国王立協会紀要』二〇〇六年イースター号
著者等紹介
下村裕[シモムラユタカ]
慶應義塾大学法学部教授。理学博士。1989年東京大学大学院理学系研究科(物理学専攻)博士課程修了。東京大学理学部助手、慶應義塾大学法学部専任講師、同助教授を経て、2000年より現職。主な研究分野は力学。2006年より慶應義塾志木高等学校校長を兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
driver1988
1
下村さんがモファットに質問をした。「どうして電磁流体力学を研究されるようになったのですか?」すると彼は「興味深い現象が沢山あって、通常の流体では解けない問題も電磁流体にすると解ける場合があるのだ」 これは非常に示唆的な発言だろう。通常の流体の方が複雑な電磁流体よりすべての面に置いて簡単だ。という人間の思い込みを正してくれるからだ。「複雑なもの」の中にこそ、ある種の「単純さ」を内包しているのだ。2010/10/26
ぶひん
0
卵を回転させると立ち上がり、更にはジャンプする。この身近にありながら解決の難しい難問が解かれていくさまが、いきいきと描かれていて、抜群に面白かった(*‘ω‘ *)2015/11/07
mosu107
0
回転する卵が立ち上がるという現象を研究した研究者の書いた本。難しい部分は省略しつつも物理の部分を丁寧に説明してくれて、研究を追体験できるような本だった。研究というものがどう進んで行くかに興味があるひとにおすすめ。2014/04/07
Steppenwolf
0
本書は,卵を回すと重心の高い状態で回転するという不思議を明らかにし,かつ,更に高速で回転するとジャンプする現象を見出した顛末を説明している。内容は読みやすく適度にサバティカルで二年も滞在したケンブリッジ大のこと,慶応大での講義など交えて楽しい。取り上げられた問題は難しいけど重要かどうか分からないものを著者は取り上げる。中にはこのような難しい問題を避けて成果の出やすい物だけを扱う人が多い。その点でも尊敬に値する。また論文の推敲もさりげなく三十回もされていて見習わねばならないことがおおかった。2010/05/18
Susumu Kobayashi
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序文でモファット教授の述べる「科学研究は知的な冒険」という言葉が、本書を読むと納得できる。心躍る冒険であった。エピローグで著者の述べる「瑣末で意味がないと見過ごされるもの、あるいは当たり前だと無視されるもの、それらの一つ一つを注意深く考えそして追求していく姿勢こそ、よりよい社会と幸福な人生に導く鍵になると信じている」と、私も信じている。今は役に立たなくても絶対に意味がないわけじゃない。引用だらけの感想になってしまった。不満は共同研究者の一人の貢献が明確でないことか。2012/08/11