内容説明
中世イスラーム国法学の祖、アル=マーワルディー(974年‐1058年)の代表的著作。マーワルディーは、本書において、スンナ派神学のイマーム(カリフ)制というシャリーアに適う君主制度を、統治契約の合法的な締結形式として法学的に定式化した。また、その君主制度を持つ統治システム(国家)の正統性の源としてのシャリーアの施行の重要性を説き、統治にかかわるシャリーアの施行の中核は、理念そのものよりも実際の運用と執行にあると唱えた。マーワルディーは、本書によって、預言者ムハンマドの正統な後継者としてのイマームの正当性を根拠とする法理論を樹立し、イスラーム法学の礎を築いた。
目次
イマーム制の締約
ワズィールの任命
地方のアミールの任命
ジハード(聖戦)の司令官の任命
公共の安寧のための戦争の司令官
司法
不正の監督
高貴な血統の人たちにたいするナキーブ制度
礼拝のイマームの任務
巡礼の引率
サダカの管理
ファイとガニーマの分配
ジズヤとハラージュの課税
地域によって異なる規則
不毛地の開墾と水の開掘
保留地と(土地や場所の)一時使用権
イクターの諸規則
ディーワーン(官庁)の設置と規則
犯罪についての諸規則
ヒスバの諸規則
著者等紹介
マーワルディー,アル[マーワルディー,アル]
974‐1058。シャーフィイー法学派の法学者として、各地のカーディー(法官)を勤めた後、バグダードでアッバース朝カリフのカーイムとカーディルに仕えた。『統治の諸規則』によりスンナ派イスラームの代表的な政治思想家として評価される
湯川武[ユカワタケシ]
1941年生まれ。慶應義塾大学教授。中東イスラーム史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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K.C.
鏡裕之