内容説明
なぜEUは市民にとって不可欠な存在なのか。またEUと市民の間にある距離とは?国境を越えた民主主義は機能するのかを考えるうえで必読の書。
目次
第1部 EU政治と市民参加(欧州統合におけるエリートと市民;EUの民主的ガヴァナンスとEU市民;外国人から市民へ―投票するEU市民)
第2部 EU政策と市民(市場統合・通貨統合と市民;EU環境政策と市民―二者をつなぐ手続きと欧州統合に関する試論;「自由・安全・司法領域」とEU市民―欧州逮捕状と相互承認原則)
第3部 EUとアクター(EU通商政策ダイアログとEU市民社会の形成―グローバル貿易ガヴァナンスのモデルとして;イギリスのEU政策と市民―首相・政党・世論;初の「欧州アクター」だったのか?―ドイツ労働総同盟(DGB)の欧州統合理念および欧州石炭鉄鋼共同体への参画過程)
著者等紹介
田中俊郎[タナカトシロウ]
学校法人慶応義塾常任理事兼慶応義塾大学法学部教授、ジャン・モネ・チェア。アジア太平洋EU学会(EUSA Asia‐Pacific)会長。1975年、慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
庄司克宏[ショウジカツヒロ]
慶応義塾大学大学院法務研究科教授、ジャン・モネ・チェア。1990年、慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
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感想・レビュー
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うえ
6
W・メルケルとクロワッサンは民主体制とは言いがたい国々の類型化を試み欠陥民主主義の理論化を試みた。包括的参政権に問題があるのは1971年までのスイスやラトビアであり、実効的な政府権力の確立に問題があるのは、チリやパラグアイ、1997年までのタイがその典型だという。法治国家・立憲主義的次元に問題がある場合は「「非自由(イリベラル)民主主義」になり、ロシア、スロヴァキア、アルゼンチン、フィリピン、韓国といった欠陥民主主義がこれに該当するとしている」これらは民主化以前の権威主義体制の遺産に依拠するものだという。2022/10/05