内容説明
国際非政府組織(INGO)の先駆的存在であり、国際連盟脱退後、日本唯一の国際窓口であった太平洋問題調査会の活動を通して、大戦間期の日本外交をとらえなおす。
目次
第1章 太平洋問題調査会(IPR)の軌跡―その設立経緯、目的、組織を中心として
第2章 第一回ハワイ会議と移民問題
第3章 第二回ハワイ会議と移民問題
第4章 第一、第二回ハワイ会議と平和機関問題
第5章 第三回京都会議と満州問題
第6章 第五回バンフ会議と太平洋の平和機関問題
第8章 第六回ヨセミテ会議と政治的勢力均衡及び平和的調整問題
第9章 第七回ヴァージニア・ビーチ会議とインクワイアリー問題
補稿(太平洋問題調査会(IPR)と朝鮮代表権問題―朝鮮IPRの脱退、一九二五‐一九三一
満州国承認問題の一側面―満州国の太平洋問題調査会(IPR)参加問題をめぐって
太平洋問題調査会(IPR)とイギリスIPR―第二回ハワイ会議への初参加問題を中心として)
著者等紹介
片桐庸夫[カタギリノブオ]
1948年、群馬県に生まれる。1976年、慶応義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得満期退学。2002年、法学博士(慶応義塾大学)。現在、群馬県立女子大学教授
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
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太平洋問題調査会:1925年発足、アジア・太平洋地域における様々な問題について科学的、客観的研究を行い、研究成果を持ち寄り、国際比較研究や討議を通じて問題の本質や解決策を模索する国際非政府組織。本書はこの団体の活動を研究し纏めたもの。◆当初は中立的かつ客観的立場を確保し、会員夫々の自由な発言を可能にするよう配慮されたが、徐々に政治的な要素が強まり、満州事変以降は各国が国家の代弁者として会議に参加するという色合いが濃くなる。やはり非政府組織の限界が見えるが、それでも新渡戸稲造の存在感はキラリと光った。2017/07/30