内容説明
西洋の新知識を、自身の洋行体験をふまえてわかりやすく体系的に紹介。幕末・維新期の日本人に、多大な影響を与えた大ベストセラー。
目次
西洋事情 初編(抄)(小引;備考;亜米利加合衆国(抄))
西洋事情 外編(題言;人間;家族 ほか)
西洋事情 二編(抄)(例言;備考;魯西亜(抄) ほか)
著者等紹介
ソシエ,マリオン[ソシエ,マリオン][Saucier,Marion]
1957年パリ生まれ。1978年フランス国立東洋言語文化研究所を卒業。1979~1981年横浜国立大学経済学部に留学。1984年パリ第一大学経済学部修士課程終了。1985年日本語アグレガシオンを取得。現在、フランス国立東洋言語文化研究所で日本語を教えている。1994年から福沢諭吉の研究をはじめ、とくに福沢の経済思想と経済用語について研究を進めている
西川俊作[ニシカワシュンサク]
1932年生まれ。1955年慶応義塾大学経済学部卒業、1961年同大学院経済学研究科博士課程修了、1972年同大学商学部教授。現在、慶応義塾大学名誉教授、経済学博士
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感想・レビュー
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てれまこし
3
今ではすっかり内向きの日本人も、かつて旅と読書を通じて自分を見つめ直した時代があった。自己というのは自分では見にくいから他者を鏡とする必要がある。福沢の時代には西洋がその鏡の役割を果した。西洋文化の輸入なんであるが、すでに門閥によって自己実現を阻まれ、封建社会からこぼれ落ちていた福沢のような人物が多くいたことを忘れてはいけない。彼は西洋の自由で平等な社会に日本のあるべき姿を見出し、そこから日本社会批判を展開する足場を見出した。日本にないものを日本語で表現する翻訳という作業自体が、そうした再帰的過程であった2019/10/10
フンフン
0
明治の日本人には、病院や博物館、盲人、聾唖者の教育や社会保障などは、まったく未知のことだった。明治の日本人に新鮮な驚きをもって受けとめられた本書も、今の日本人には旧聞に属することが多い。だが、福沢が自由とわがままとの区別を説くくだりや、人権を保護するとは、その人の才能を十分に開花させることを意味するのであり、単に貧民に金銭を恵むのは、むしろその人を怠惰にして本来の才能をだめにしてしまうことだなどと説いているところは現代人も大いに読まれるべきだろう。2015/01/08