内容説明
ひらがなが書けない。「ヲ」と「ヨ」の区別がつかない。鎌倉時代の次は江戸時代。アルバイトで家計を助ける。医者に行けない。テーマパーク未経験…圧倒的な低学力と目を覆うばかりの貧困。これは高校のせいですか?これは高校だけで対処すべき問題ですか?見捨てられた高校であえぐ高校生と教師たちの現実がここに。
目次
第1章 「教育困難校」とはなにか
第2章 無学力の実態
第3章 豊かさの中の「貧困」
第4章 愛情渇望症の生徒たち
第5章 教育行政への疑問
終章 蟷螂の斧―結びに代えて
著者等紹介
朝比奈なを[アサヒナナオ]
東京都出身。筑波大学教育研究科修了。教育学修士。大学院修了後、首都圏の公立高校教諭。退職後は進路アドバイザー・フリーライターとして講演及び執筆活動を行う。2007年より大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
16
いわゆる「底辺校」のルポ。偏差値の低い高校って、なんかヤンキー同士がケンカに明け暮れてるとか、漢字が読めないおバカエピソードとか、そんなイメージでとらえてたけど、これ読むと今の底辺の問題が見えてくる。根底にあるのは貧困の連鎖。そして怖かったのは「無気力で生気が感じられず病的に学力が低い生徒群」。マスコミや官僚や学者になる人たちって高学歴の人がほとんどだから、こういう現実があるってなかなか見えてこないんだなー。2014/04/27
うみ
6
同業他者の皆さんにはおおむねおなじみの内容。業界外の方はパラ見でもお手に取ってくださると嬉しい。 初任の時からこの客層で日々楽しくやってるけども,これって社会問題なんだよーと訴えたい。 この人たちにいくばくかの力をつけて社会に送り出すために,WSとかファシリテーションとかやってるんだな。2013/02/09
プラス塾長
3
職業がら、学力の低い生徒には接しているので驚きは一般の人よりは少ないのかもしれない。うちは私塾だから入塾のフィルターがかけられるが、公立高校はそうもいかない定員割れしていてれば入学希望者を原則全員受け入れざるおえず、高校の教員の苦労は想像できる。ゆとり教育や英語教育などはしょっちゅう話題にのぼるがこういう問題もあることを あらためて認識させられる。まあ、政治家や官僚になるお坊ちゃまには想像つかない世界だろうな。2012/01/25
Aby
2
貧困と隣り合わせの「教育困難校」.生きる知恵のない「無学力」.親の経済状況が子供の学力を決定することと合わせると,この高校生たちが人生の方向を変えることがいかに難しいか.「第5章 教育行政への疑問」に上げられている課題は,子供の数が減少している現在,改善されるどころか拍車がかかっていくのではないか(定員確保の競争が激化して).2016/10/12
☆HIRO☆
1
頑なに努力すれば報われると公言している人は正しくないと思わざるを得ない内容だった。まず日常の常識(敬語の使い方、もしかすると箸の使い方まで)を身につける教育課程を取り入れた方が良いのかなと思った。今更そういうことを学ぶのが馬鹿らしいとか恥ずかしいとか言っている場合じゃない。そして学校の先生、保護者も子どもの将来のことを考えて真剣に向き合うことは必須だと分かった。勉強をする環境にない生徒も環境はあるのにやらない生徒も同じくらい問題だと個人的には思う。2020/03/18