内容説明
昭和五〇年代の春、高校生の十喜子は大阪の住吉大社の近くのお好み焼きと焼きそばのお店「フクちゃん」でバイトに励んでいた。真面目な彼女の前に、突如現れたのが、歌手になるのが夢だという大学生の岸本進。商店街イチの男前で、とにかく女にモテる。十喜子はこんなええ加減な人、好みとちゃうからと思いながらも、なぜだか魅かれていって…。二〇二〇年大阪ほんま本大賞を受賞した『たこ焼きの岸本』、待望の第二弾。笑いあり涙あり、美味しい食ありの昭和の大阪人情物語。
著者等紹介
蓮見恭子[ハスミキョウコ]
大阪芸術大学美術学科卒業。2000年頃から大阪の「創作サポートセンター」を受講しながら、作品を書きはじめ、2010年『女騎手』で第30回横溝正史ミステリ大賞の優秀賞を、2020年、『たこ焼きの岸本』で大阪ほんま本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
189
前作の話を遡って、十喜子と進の馴れ初めから結婚までの話。前作の息子の颯のダメぶりは、父の進譲りと納得。息子もダメだが、父もダメダメだね。優しいのはわかるけど、これだもの十喜子が、旦那と息子に振りまわされて苦労するのは必然かも。そんな十喜子の肝っ玉ぶりにあっぱれ。花嫁行列、一度でいいから見てみたいな。花嫁行列を見たら幸せをお裾分けしてもらえそう。結局、たこ焼き屋を始めた理由はわからないまま。それでも、人情溢れる物語に心が温かくなった。堺の街を知っていれば、もっと人情味を感じるのかもしれない。2021/04/21
まさきち
101
「たこ焼きの岸本」第二作。かつて岸本でバイトをしていた十喜子と進の物語。紆余曲折あったものの、周囲のあたたかい見守りに包まれた終盤の結婚式の描写は秀逸。気持ちよく読了させてもらいました。2021/06/26
ジュール リブレ
92
シリーズ2作目。前作から遡って昭和の大阪が色濃く描かれる。タバコの煙に包まれた喫茶店のナポリタン。商店街を挙げてのドタバタ。デートでたこ焼き屋。そして住吉大社での花嫁行列。全編流れる関西弁の名喜劇でした。2021/06/28
やも
91
十喜子の学生時代〜結婚までのメモリアル。高校生で父を亡くし、後に夫となる進と出会い。卒業後は病院で事務として働き、病院内ではナメられたり嫌がらせにあったり。途中ステキな男性にも出会ったり。けれど縁を切れないのはなんでかな?進はアホのちゃらんぽらんだし、十喜子はカズちゃんにもいじわるもされてんのに、この結婚式の日に目が潤んでしまうのは。そして、全部が過去のことなんやね。笑いあり涙あり、私も十喜子の友達になったつもりで読み終えたよ。やっぱり進は止めたほうが…って思うけど、負けたらあかんで😁❗★42023/01/30
タイ子
85
第2弾なので続編かと思いきや、エピソード0の物語なんですね。十喜子がまだ高校生のころバイト先のたこ焼き屋で夫となる進との出会い。モテモテバツイチチャラ男の進との結婚はどうなの?とか思ったけど、十喜子が惹かれていく様子が微笑ましくて・・・。この先、前作に語られる話があると思えば切なくなってくるけど、取り敢えずたこ焼きの岸本になるまでのエピソードはほんわか、熱々のたこ焼きのような物語でございました。2020/12/13