内容説明
大阪の住吉大社近くで、亡き夫から引き継いだ「たこ焼き屋」をひとり営む岸本十喜子。十八歳で家を出て行った息子は行方知れずのまま。だが、特製玉子サンドと珈琲が美味しい、カーリーヘアで豹柄ミニスカートの喫茶店のママ、子供食堂を併設した「キッチン住吉」の佳代など、商店街の皆と、身の回りで起きる事件を解決していく。熱々で美味しいたこ焼きが人々の心を優しく和らげる、どこか懐かしく温かく笑える下町人情物語。書き下ろし。
著者等紹介
蓮見恭子[ハスミキョウコ]
大阪芸術大学美術学科卒業。2000年頃から大阪の「創作サポートセンター」を受講しながら、作品を書きはじめ、2010年『女騎手』で第30回横溝正史ミステリ大賞の優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
232
住吉大社近くの商店街でたこ焼き屋を営む岸本十喜子。十喜子を中心とした下町の話。前半は謎解き要素、後半はドタバタでてんやわんや。世代のギャップを感じたり、大きなお世話と思うぐらいのお節介に感じるところもあったけど、商店街のみんなで助け合ってるのは、優しく感じて良かった。十喜子が作るたこ焼きとチーズ焼き、それとベビーカステラが美味しそう。たこ焼き食べたくなるね。ウチでたこ焼き作って食べるぞ……、その前にたこ焼き器がないや。買わねば…。玉子サンドも食べたいね。2020/05/10
おしゃべりメガネ
118
初読みの作家「蓮見」さん作品。関西テイスト丸出しで、お腹いっぱいになりつつありました。夫に先立たれ、一人息子にも行方をくらまされ、一人でたこ焼き屋を切り盛りする「十喜子」は地元の商店街をはじめとする人々とのかかわりの中で、日々楽しく過ごしています。周りのサポートも受けながら、のんびりマイペースでいると、とある日に見慣れない男性の影がチラつきはじめます。登場人物が全体的に薄味気味かなと。いい話なんだろうけど、イマイチまとまりにかけるかなと。本作だけではなく、他の作品も読んでみて相性を確認したいと思います。2022/06/18
タイ子
116
大坂は住吉大社近くの商店街でたこ焼き屋を営む岸本十喜子。夫亡きあと一人で頑張っている。息子は大きいんだかちっちゃいんだか夢を抱いて家出して10年間音沙汰無し。明朗快活、おしゃべり上手、おせっかいな(ある意味めんどくさいおばはん)を予想しながら読んでいたら、それだけじゃない。十喜子は十喜子なりの悩みや将来への不安を抱えて生きている。商店街の店主たちの個性ある姿も面白い。10年ぶりにいきなり帰ってきた息子が子連れに。後日、嫁が来た時には度肝を抜かれる。予想外の展開にこっちもビックリ!続編が楽しみ。2020/09/26
まさきち
111
大阪の住吉辺りを舞台にした物語。激しくはないけれど、じわっと気持ちが温かくなる物語でした。2020/11/06
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
106
大阪でたこ焼きを食べた後、書店で見かけて思わずゲット。お初の作家さんでした。食い倒れの街大阪、中でも粉もんは大阪のソウルフードだよね。夫に先立たれ、一人息子は家を飛び出したまま行方知れず。五十路を過ぎた十喜子が営む小さなたこ焼き屋。子供の頃近所にあったたこ焼き屋を思い出しました。当時一個10円。10円玉をいくつか握り締めておやつに食べに行ったなぁ。たこ焼きってそう言う身近な食べ物ですよね。住吉大社の古い商店街を舞台にしたよくある人情話、かと思ったら途中から想像の斜め上の展開。そんなお話でした。★★★2020/08/27