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出版社内容情報
世界がファシズムに傾斜していく境ともいえる1933年。その年の音と音楽に関連するユニークな出来事を通して、1933年の空気を浮かび上がらせ、それ以前/それ以後の日本社会の変化を読み取る。
内容説明
近代化=西洋化から、近代化=国粋化への転換点でひずむ音に狂わせられる人々を、私たちは笑うことができるのか?“戦前”の声に耳を澄ます。
目次
第1章 尺八奏者・野村景久による殺人―音楽の合理化と精神論
第2章 「良い」田舎と「悪い」田舎―音楽における都市と地方
第3章 三原山に見る近代―自殺ブームと音楽
第4章 音楽家たちの階級闘争―政治と脱政治のあいだで
第5章 国際連盟脱退という「まつりごと」―デモ行進の音楽
第6章 サイレンのある街―時報、防空警報、皇太子の誕生
著者等紹介
齋藤桂[サイトウケイ]
大阪大学大学院文学研究科助教。1980年生。大阪大学文学部卒業、同大学院文学研究科修了。博士(文学・大阪大学)。2006年度柴田南雄音楽評論賞奨励賞(アリオン音楽財団)。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学、2011~2013年度)、日本学術振興会二国間交流事業特定国派遣研究者(シベリウス音楽院、2014~2015年度)を経て2016年4月より現職。専門は音楽学・日本音楽史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
7
戦前の日本が右傾化/国粋化して行く様子を、日本に響く様々な音の風景を題材に読み解く試み。近代日本の転換を、人々の情緒に直接影響を与える音楽、あるいは(新規な)音から考えるというのは興味深いが見慣れたものでもある。本書の面白みは1933年という1年間の出来事の中にエポックを見出した点だろう。恣意的ではあるが読み物として整理されているという利点の方が大きいと感じた。2018/01/19
Hiroki Nishizumi
3
時代が違ってもいろいろな出来事があるのは現代に通じる。でも不思議な印象の出来事が多い。そこが時代の差か。2022/09/30
竹の花
3
1933年という1年に着目して時代の転換を描き出しておりおもしろい.様々な出来事が起き「音」が生まれては流れていく社会を人々がどう生きてきたのか,もっと知りたいとの思いを新たにした.2021/06/14
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3
小林多喜二が殺され、三陸大地震が起き、日本が国際連盟を脱退し、皇太子が生まれた1933年、巷の空気を震わせていた尺八、箏曲、民謡、小唄、音頭、サイレンといったものがいかに臣民の精神を形作っていったか、あるいは臣民がいかにこれらを精神化していったか、というスリリングな研究。2018/05/15
anti
1
すばらしい!大量生産型歌謡曲の祖としての新民謡、都市と田園の問題、そして自殺、エログロから戦争、サイレンへ…様々なエピソードが一つの線でつながる。読みやすい。2018/02/09