出版社内容情報
「自由貿易」は、いかにして生まれ、死んだかイギリス発祥の理念である「自由貿易」が、イギリスにおいて、大衆が主役となる文化の成長をいかに促したのか、そしてそれがいかに解体したのか、その歴史を物語として語る。今日の世界に浸透しているグローバリゼーションの初期段階である20世紀初頭、「自由貿易」は、経済的理念でありつつも大衆の心を掴み、イギリスという国のアイデンティティ形成に大きく寄与した。著者は「自由貿易」という経済的理念が、一般大衆の生活に入り込み、政治的に作用したその文化的光景をヴィヴィッドに描き出す。
序章 自由貿易と政治文化
第一部 自由貿易国民の成立
第一章 自由貿易の物語
第二章 パンとサーカス
第三章 グローバル化の不安
訳者あとがき(田中裕介)
第二部 解体
第四章 分裂する消費者
第五章 神の見える手
第六章 失われる利益
第七章 最後の日々
フランク・トレントマン[フランクトレントマン]
1965年生まれ。ドイツ・ハンブルグ出身。ハンブルグ大学、LSEで学んだあと、ハーバード大学で歴史学の修士・博士を取得。現在はロンドン大学バーベックカレッジ歴史学教授。イギリス史研究の新しい潮流である消費史のリードする研究者の一人。『オックスフォード消費史ハンドブック』(2012年、編者、)新刊に『物品の帝国(Empire of Things)』(Allen Lane,2016)がある。
田中 裕介[タナカ ユウスケ]
新 広記[シン ヒロキ]
内容説明
今までになかった「自由貿易」の物語。20世紀初頭イギリスの「自由貿易」をめぐる政治と文化の熱狂がいかにして生まれ、衰亡していったかを壮大なスケールで描く。
目次
自由貿易と政治文化
1 フリートレイド・ネイションの構築(自由貿易物語;パンとサーカス;グローバル化の不安)
2 フリートレイド・ネイションの解体(分裂する消費者;見える手;利益喪失;最期の日々)
著者等紹介
トレントマン,フランク[トレントマン,フランク] [Trentmann,Frank]
1965年生まれ。ドイツ・ハンブルク出身。ハンブルク大学、LSEで学んだあと、アメリカのハーバード大学で歴史学の修士・博士号を取得した。その後プリンストン大学等で教鞭を執り、2000年、ロンドン大学バークベック校に着任、現在は同大学の歴史学教授である。70本以上の論文を発表、共編著を加えると20冊以上に及ぶ書籍を刊行している
田中裕介[タナカユウスケ]
1972年生まれ。青山学院大学文学部英米文学科准教授。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。博士(学術)
新広記[シンヒロキ]
1972年生まれ。ロンドン大学バークベック校リサーチフェロー。「20世紀のエネルギー物質文化」研究プロジェクト副代表として、トレントマンと共同研究を行っている。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究科博士課程単位取得退学。ケンブリッジ大学歴史学部(PhD.)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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