保守のアポリアを超えて―共和主義の精神とその変奏

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  • サイズ A5判/ページ数 318p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784757143258
  • NDC分類 311.4
  • Cコード C3031

出版社内容情報

「保守主義の思想」の根源に迫る。

立憲君主制と対立すると理解されている共和主義の思想が、エドマンド・バークに始まる保守主義と不可分に結びついていることを、ハンナ・アレント、J・G・A・ポーコックらの思想のなかから丹念に読み解いていく。
新進気鋭の研究者が放つ保守思想再生のための力作。

序 論 保守のアポリアを超えて
第1章 市民と自律の考古学――アレントとポーコックのダイアローグ
第2章 蘇生する「統治の知」――ハリントンのコモンウェルスと立法者
第3章 盾としてのリヴァイアサン――ホッブズのコモンウェルスと高貴な人
第4章 共和国の陰りのなかで――政治経済学における両義性と複眼性
第5章 深化する「統治の知」――バークにおける作法論の転回
結 論 革命と時間――保守を思想へ高めるために

【著者紹介】
1978年生まれ。京都精華大学専任講師。共著書に『ナショナリズムの政治学』(ナカニシヤ出版)、『共和主義ルネサンス』(NTT出版)などがある。

内容説明

“保守”を思想へ高めるために―西欧思想史に響きわたる通奏低音としての“共和国”。幾重にも派生するその変奏の系譜の核心にE.バークを捉え、保守主義のレゾン・デートルを根源的に照らし出す。

目次

序論 保守のアポリアを超えて
第1章 市民と自律の考古学―アレントとポーコックのダイアローグ
第2章 蘇生する「統治の知」―ハリントンのコモンウェルスと立法者
第3章 盾としてのリヴァイアサン―ホッブズのコモンウェルスと高貴な人
第4章 共和国の蔭りのなかで―政治経済学における両義性と複眼性
第5章 深化する「統治の知」―バークにおける作法論の転回
第6章 保守のレゾン・デートル

著者等紹介

佐藤一進[サトウタカミチ]
1978年岩手県生まれ。京都精華大学芸術学部専任講師。京都大学経済学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(人間・環境学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミスター

2
「保守」主義をポーコックを補助線にして共和主義的に解釈しようとする作品で、明示的かつ具体的にこれまで指し示されていなかった「保守」の理念を共和主義と据え定義しようとする試みだが、ちょっと中途半端な気がする。前から当方が保守に思っていた「保守主義の普遍性」をいかに担保するかという話にはあまり答えてないような気がする。アーレントの話までは面白かったが、途中からどっちつかずの印象を受けた。けっきょくイングランドとフィレンツェしか当てはまらないんじゃね?と。とは言えポーコックを知ったので勉強にはなかったかなと思う2020/01/05

Tetsuto

2
京都精華大学芸術学部専任講師・佐藤一進(たかみち)氏の初の単著。行き詰まった日本や世界の「保守」について、私がずっと思ってきた疑問に真っ向から挑んでいる。それは、何を保守するのか、保守の理念とは何かである。この問いにまともに答えられる政治家は少ない。だから伝統を守るといいながら、TPPを推進するというあべこべ。一進氏は、バークに始まり、アレント、ポーコックなどの思想家の考察をさらに掘下げ、保守を思想として捉え直すべく格闘している。日本の保守思想の到達点と言える作品。自分が右でも左でもないと思う方はぜひ。2014/05/31

ミスター

1
保守主義とは理念ではないと言うこと。ある種の作法のことであり、統治の学としてあるというのが本書の立場でこれはまったくその通りだなと改めて読んで思った。一般に保守とは思想ではなく態度のことだという意見があるが、これとは似ているようで似ていない。なぜなら「統治の学」としての保守主義は態度とは違い、理念はないが思想はある。原始より続く歴史への畏怖と恐怖に基づいた内省と、そこから導き出される徳による便宜と裁量主義的な統治こそ保守主義が求めるべきものだ。そしてそれは実践的な危機のなかの慎慮からしか生まれない。2020/10/05

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