失われた二〇世紀〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 368,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784757142862
  • NDC分類 209.7
  • Cコード C0022

出版社内容情報

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内容説明

わたしたちは“歴史”からなにを学び得るか。冷戦・パレスチナ問題・グローバリゼーション、そしてアメリカ。20世紀とは、道徳的な記憶の宮殿へと続く回廊である。

目次

第3部 ロスト・イン・トランジション―場所と記憶(破局―一九四〇年、フランスの敗北;失われた時を求めて―フランスとその過去;庭に置かれたノーム像―トニー・ブレアとイギリスの「遺産」;国家なき国家―なぜベルギーが重要なのか;ルーマニア―歴史とヨーロッパのあいだで;暗い勝利―イスラエルの六日間戦争;成長を知らない国)
第4部 アメリカの(半)世紀(アメリカの悲劇?―ウィテカー・チェンバース事件;危機―ケネディ、フルシチョフ、キューバ;幻影に憑かれた男―ヘンリー・キッシンジャーとアメリカの外交政策;それは誰の物語なのか?―冷戦を回顧する;羊たちの沈黙―リベラルなアメリカの奇妙な死について;良き社会―ヨーロッパ対アメリカ)
結び よみがえった社会問題

著者等紹介

ジャット,トニー[ジャット,トニー][Judt,Tony]
1948‐2010。ロンドンに、ユダヤ人の両親のもとに生まれる。高校・大学時代には左派シオニストとして夏休みをイスラエルのキブツで過ごすなどするが、第三次中東戦争をきっかけに幻滅。ケンブリッジ大学キングズ・コレッジとパリ高等師範学校に学び、オクスフォード大学セント・アン・コレッジで教鞭をとった後、1987年からニューヨーク大学のヨーロッパ研究教授として迎えられる。専門はヨーロッパ現代史。2009年に、イギリス政治に関する著作の、生涯の功績を称えられてオーウェル賞を受賞

河野真太郎[コウノシンタロウ]
1974年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。一橋大学大学院商学研究科准教授

生駒久美[イコマクミ]
1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程休学中。オクラホマ大学大学院英文科博士課程留学中

伊澤高志[イザワタカシ]
1978年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科英文学専攻博士課程単位取得退学。立正大学文学部特任講師

近藤康裕[コンドウヤスヒロ]
1980年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。東洋大学経済学部専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

26
自然災害にも気軽に使われる「戦後」という表現。この史観に慣れ過ぎることで見失うものがある。例えば、独仏が約150年の間に5度も戦争をしたこと、ベルギーがフランス、プロシア、イギリスの緩衝地帯として偶然に誕生した国であること、冷戦の戦略は1920年代に既に確立していたことなどである。今ある問題は、第二次世界大戦の勝ち負けを善悪と読替えて判断されるべきものではない。超長期の歴史の流れの中で考察されるべきものだ。ナチズムや共産主義といえどもトラウマとするのではなく、正確に思い出し、評価と反省を加えるべきなのだ。2014/11/11

風に吹かれて

15
下巻はヨーロッパ、イスラエル、アメリカに関して1997年から2006年の間にThe New York Review of Booksなどに発表された論稿。2011年刊。ユダヤ人の両親のもとロンドンに生まれ高校・大学時代はシオニストとして夏休みをイスラエルのキブツで過ごしたトニー・ジャット。そういった経歴にもかかわらず、いや、だからこそ、イスラエルおよび過剰にイスラエルに与するアメリカや各国の一国主義を批判する。2010年に逝去したトニー・ジャットは今の世界をどんな言葉で批評するだろう。62歳では早すぎる。2019/07/08

yooou

8
☆☆☆☆★ 上巻は忘れ去ってきた知の巨人たちについてでしたが下巻は色濃く今世紀に引き継がれた負の遺産についてという感じで下巻の方がとっつきやすいものがありました。それにしても、では失われたものとはなんだろうか。ここでもジャットは果てしなく深い英知を備えているのでありました。2013/04/17

ジュン

4
「知識人は平和をかき乱すべきなのだ――とりわけ自分たち自身の平和を」(『羊たちの沈黙―リベラルなアメリカの奇妙な死について』) 上巻、サイードについての論考だが、このテーマがすべての章に貫かれている。若くして亡くなったジャットを悼む。2016/01/20

kei

2
上巻のテーマがユダヤ人だとするなら、こちらは「戦後20世紀世界」についてだろうか? 作者の独特のスタンスは読み進めるほどに極まるばかりで、その筆に向く先は当時から透けていた(けど、鑑みられることはなかった)ソ連崩壊以後の市場主義の亀裂と欧州に積もりつつある火薬、そしてイスラエルという国家の奇妙な焦点 過去と比較して優位な「今」など実はほとんどないんじゃないかと思わせてくれる2012/11/29

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