内容説明
人はなぜ誘惑の罠に落ちるのか?過剰な刺激と果てしなき消費。エントロピー増大を駆動しているのは私たち自身の内部にある欲動。その行き着く果てを目の当たりにした現在、もっとも求められるべき自省と自制の科学を論じた。
目次
過剰の民主主義
病的な過剰
自分を叱咤して
便利な発明のコスト
繁栄の代価
自己コントロールと社会の変化
古代ギリシャの人々はどう考えていたか
マシュマロ・テスト
熾烈な内輪もめ
心と身身という問題
自己コントロール、自由意思、その他の矛盾
オデュッセウスと伝書バト
激情による犯罪
依存、衝動、選択
明日があるから
自由気ままに
政府と自律
自分のゴッドファーザーになる
現在を楽しめ
著者等紹介
アクスト,ダニエル[アクスト,ダニエル][Akst,Daniel]
ジャーナリスト・エッセイスト。ペンシルベニア大学卒業後、ニューヨーク大学にて経済学や金融を学ぶ。「ニューヨーク・タイムズ」「ウォールストリート・ジャーナル」などに寄稿している。妻と息子たちとともにニューヨーク郊外のハドソンバレーに在住
吉田利子[ヨシダトシコ]
翻訳家。東京教育大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日向夏(泉)
5
ジャーナリストの書いた意志力についての本。研究者ではないからか、プラトンの饗宴やJ.S.ミル「自由論」などが随時引用される。…つまり、脳内の物質の測定や人間の反応のデータ分析などを直接行うのではなく、様々な文献を撚り合わせていく感じというか。読んでいて、事実に基づく推測なのか、自論の展開なのか、よく分からない。こういうのは自分は合わないなと発見できてよかった。人生の時間は限られているから、自分にとって価値ある本を読むべきだ。2017/04/07
メロン泥棒
5
この本を読めばインターネットの誘惑にもまけず、仕事に集中出来るようになる、というわけでも無く。歴史上、人々が誘惑に負けてきたことを眺めながら安心すると共に、実践されてきた自分を縛る方法が参考になる。例えば、いつの時代も作家は締め切りに追われないと仕事をしないもので、その方が良い仕事が出来るという話もあるそうだ。また、海外では不実行の罰ゲームを実際に契約するというサービスもあるらしく、罰ゲームもナチスに献金するとかやりたくない事の方が効果があるとかなかなか面白い。2011/10/02
くさてる
4
いや本当にあてにならない。人間という生き物が、いかに自分をコントロールするのが苦手なのか、ロ性的かつ客観的な事実を無視してまで、自分の行動を律することが出来ないのかというテーマについて、豊富な事例と様々な切り口で語っていて、読み物として面白かった。明日の自分をあてにすることをやめることから始めるべきなのですね、頑張ろう(笑)2012/02/01
kazuto23
3
一番印象に残ったのは薬物中毒者のリハビリの際の実験で、社会的責任を負うと人はそうでない者よりもより自制が容易になる、という事実を示したものだった。これは社会的責任でなくても、単純に薬物を使用しないということを守るだけの時よりも、薬物の使用を我慢できれば何か利益がある(仕事を首にならないで済む、家族と共に居られる、映画の無料券がもらえるなど)自分のためだけに頑張るよりも、自分以外の人のために頑張る方が人は力を発揮できるのだ、ということが分かった。2012/04/15
たがも
3
かくも人類は誘惑を作り出し、振り回されてきたのかと延々書いてあります。文系な本。2011/11/29