出版社内容情報
マネジメントでもなく、自己啓発でもなく、‘思想家として’ドラッカーを読む!「マネジメント」「リーダーシップ」「プロフェッショナル」といった言葉ともに、日本でもビジネスマン、組織人を中心に大人気の経営学者・思想家のピーター・ドラッカーであるが、多作であることに加え、日本では彼の経営的側面・自己啓発的側面をそれぞれの分野の人が我田引水的に取り上げることも多く、その全体像はかえって見えにくくなっている。本書では、ドラッカーのテキストを精読することによってその思想を整理し、さらには同時代の西洋思想史(ナチズム・全体主義、自由主義、保守主義、アナーキズム、ユダヤ思想、ポストモダン思想)のなかに置き直し、その源泉と価値を見極め、新たなドラッカー像を提示することを目指す。そのうえで、日本におけるドラッカー人気とは、いったいなにを意味しているのかを考察する。
第1章 ウィーン時代のドラッカー
第2章 ドラッカーにとって国家とは?
第3章 ドラッカーにとってリベラルとは?
第4章 保守とリベラルの相克としての「マネジメント」
終 章 弱き個人ための企業コミュニティへ
仲正 昌樹[ナカマサ マサキ]
著・文・その他
内容説明
20世紀を代表する経営学者ドラッカー。そのあまたの著作の背景には共同体という寄る辺を失った“弱い個人”がファシズムやポピュリズムに流されることなくいかに生き抜くかの、たゆまぬ思索があった。“思想”の観点からその精髄を明らかにするこれまでにない入門書。
目次
第1章 ウィーンのドラッカー(世紀転換期のウィーンとユダヤ人;“傍観者”の視点とは? ほか)
第2章 守るべきものとは何か?―ドラッカーの保守主義(法学徒としてのドラッカー;保守主義者シュタール ほか)
第3章 なぜファシズムと闘うのか?―ドラッカーの自由主義(ファシズム全体主義とは何か?;マルクス主義はなぜ大衆を裏切ったのか? ほか)
第4章 思想としての「マネジメント」(ドラッカーの経済思想;「イノベーション」の思想史的意義 ほか)
終章 弱き個人のための共同体としての企業(リベラルと保守のあいだで;政治哲学における位置づけ ほか)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年、広島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究博士課程修了(学術博士)。金沢大学法学類教授。文学や政治、法、歴史などの領域で、アクチュアリティの高い言論活動を展開している。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。